この記事は2020年8月21日に書かれたものです。最新の情報とは異なる可能性があります。ご注意ください。

ベータ版のKinoveaが9.3にバージョンアップ、解析機能とキャプション昨日の強化へ。

動画分析ソフトのKinoveaが8.27から9.3にアップデートされました(ベータ版です)。

新しく追加された機能でアーチェリーに関連するものは、下記の通りです。

動画に時間(相対的な時間)を挿入できる機能となります。例えば、アンカーした時間を中心(ゼロ秒)として、分析することが可能です。

こちらはフィールドでの打ち上げや打ち下ろしの時のように、分析用の座標軸を水平におけない場合には役に立ちそうです。

全く新しい機能として、OpenPoseという全く新しいソフトとの連携が可能となりました。OpenPoseで出力されたキーポイントファイルのインポートが可能です。

*OpenPoseは無料ですが、商用利用はできません。

後はレンズの補正などの、主にキャプション(動画を記録する)関連の機能が強化されています。以前はものすごい価格でしたが、現在では、グローバルシャッター搭載のUSBカメラでも、5000円台で手に入るようになっているので、いつか試してみたいと思います。

なお、最新機能の一部メニューは日本語化されていませんのでご理解ください。

https://www.kinovea.org/setup/kinovea.0.9.3/Kinovea-0.9.3-x64.exe


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Ryo

(株)JPアーチェリー代表。担当業務はアーチェリー用品の仕入れ。リカーブ競技歴13年、コンパウンド競技歴5年、2021年よりターゲットベアボウに転向。リカーブとコンパウンドで全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は2位(準優勝)。次はベアボウでの出場を目指す。

11 thoughts on “ベータ版のKinoveaが9.3にバージョンアップ、解析機能とキャプション昨日の強化へ。

  1. KinoveaにOpenPose連携を提案した側として気になっているのですが、OpenPoseが推定する関節位置は、アーチェリーでも有用でしょうか?
    もし試されていましたら、感想頂ければと思います。

  2. 間違いなく有用です。ただし、ハイスピードカメラ同様、OPENPOSEはデータを出力してくれるだけなので、そのデータをどう解釈してトレーニングに生かしていくかにはコーチ(あるいはセルフコーチングできるだけの知識)が必要になると考えます。

    https://storage.googleapis.com/tfjs-models/demos/posenet/camera.html

    Google版は上記のリンクでスマホで試せます。

  3. コメントありがとうございます。
    OptiTrackなどのマーカー式モーションキャプチャに比べれば、OpenPoseの位置検出精度は低いですが、そうであってもコーチングには利用可能という感触でしょうか。たしかに、絶対位置は低精度ですが、相対的な関節角度の時間変化とかであれば、OpenPoseでも差は見えそうです。
    画面平面に対して奥行方向の動きは捉えにくいので、指導目的に応じて、カメラ位置を細かく調整する、とかのノウハウが必要そうですね。ただ、OpenPoseの学習データセットの都合上、通常でない視点(真上から撮影とか)には弱かったと思います。視点によっては、自分でデータセットを準備する必要があるかも知れません。

    全く別の目的ですが、私が以前収録した対象では、腕の回転(回内・回外)のような、画像からの観察が難しい動きがカギになっていたため、お高い機材を使うことになった経験があります。費用対効果の線引きはなかなか難しいですね。

  4. >OpenPoseの位置検出精度は低いですが、

    マーカー式と比べ、検出では、座標とともに信頼値も出力されます。幸いアーチェリーは同じ動作を繰り返し、1練習では、100-200個の動作を得ることができるので、その値が高いものだけ使えば、問題はないと思いますが、どうでしょうか(これ以上議論するほどの知識はないです…)

    >費用対効果の線引きはなかなか難しいですね。

    結局はそこに尽きると思います。想像するに多くの使い方がありますが、私が教えていた高校では、1コーチに対して、20名の生徒がいたので、15年前なのでビデオカメラしかありませんでしたが、今の技術があっても、他視点で分析してそれぞれにフィードバックといったことは時間的に到底できません。現状、アーチェリーにおいては、データを得ることは10年前に比べものすごく簡単になりましたが、その分析に関しては、ほぼブレークスルーはないと感じています。最後は結局人間が頑張ってと。

  5. OpenPoseの信頼度は、認識エラーを排除する目的では便利です。ただ、位置精度とは別指標なので、信頼度が高くても、例えば服装の模様で関節位置がずれたり、カメラ位置によって関節角度が変わったり、というのは起きると思います。ある程度は運用でカバー出来るとは思います。

    技能は習得過程も様々ですし、収益化できる仕組みとなると尚の事大変ですね。メジャースポーツ以外では、指導者一人でいかに多人数を指導できるかが収益化ポイントかなと思いました。

    ジャストアイデアですが、、
    身体動作と点数等は、生徒側が常時記録して毎日指導者に送る。(OpenPoseは生徒側で実行)
    システムは、生徒ごと、一射ごと、あるいは一定期間の、各関節の動作であるとか、動作のブレなどを可視化しレポートにまとめる。この辺はノウハウがあれば半分自動化できそう。
    指導者側は、レポートを参照して、遠隔指導あるいは現地指導の効率をあげる。蓄積したエビデンスをもとに、満足度向上を目指す。

    思い描くようにうまく動くかはわかりませんが。
    生徒が面倒くさがらない記録の仕組み、記録からレポートを自動生成する仕組み、が最初のハードルでしょうか。

  6. >身体動作と点数等は、生徒側が常時記録して毎日指導者に送る。(OpenPoseは生徒側で実行)

    面白いアイデアですね。Openposeに限りませんが、現状、問題は学生が実行するためのコストが技術の進歩によって、現実的なものになることに期待するしかないと思います。

    記事によっては、

    CPU:Intel Core i7-6700HQ
    RAM:8GB
    GPU:NVIDIA GTX 960M

    という環境でも1.4verがメモリ不足で動かないと言われていますので、このような環境を学生に求めることには無理があると思います。スマホでも動く時代になれば、運用可能な形態だと思いますが、10年ほど先でしょうか。

  7. 仰る通り、初期投資の抑制は課題ですね。

    解決方法はいくつかありますが、動画の記録は学校備品のパソコンやスマホでやって頂くとして、別途、皆で共用できる専用の「姿勢検出ユニット」を販売するか貸し出す、という形が良さそうに思いました。EdgeAI系のデバイスで構成すれば、機材実費は1台2万円ほどにできます。
    例えば、同ユニット(弁当箱サイズ)に一日分のビデオファイル入りのUSBメモリを指したら、翌日までには姿勢検出結果が書き戻されており、必要に応じて結果ファイルをコーチにメールする、といったフローであれば、誰でも使えそうです。

    とは言え、やはり一番のポイントは、姿勢検出データでどこまで継続的にコーチングを支援できるか、であろうと思います。
    当方もKinovea好きではありますが、Kinoveaは関節角度の計測やグラフ化などに手作業が多い印象です(最近のバージョンは触ってないのですが)。画像やグラフを含めた「今週の指導レポート」的なものの出力を半分でも自動化できたら、組織的なサービスとして運営できる規模感になるかなあ、と夢想しています。
    最初は手間がかかるでしょうが、技術的な問題はなさそうです。
    最終的には、それがビジネスとして成立するかどうか、ですね。

    ここまで着地点の見えない話に長々とお付き合い頂きありがとうございます。

  8. 現状では自分に対して、Kinoveaや遅延システムなどのシステムを使って、分析・セルフコーチングしています。その実績としては、コンパウンドをはじめて2年弱で全日本で準優勝できましたが、正直、分析・解析システムが有効だったのか、その分析・解析の結果に対する自分の解釈が正しかったのか、逆に言えば、同じシステムを他の人が使用して有効なのかはまだ自分の中で結論がありません。ですので、ノウハウ化はしていません。自分の中での今後の課題です。

    今年、Mantisが登場しましたが、ビジネスとするには、センサーだけではなく、それを分析し、解析して、何が問題点で、どこを改善すべきかというアルゴリズムまでセットでソリューションとして提供しないと、ビジネスにはならないと思います。技術は進歩していますので、10年後くらいにはある程度見えてくるのかなと楽観的に考え、将来の楽しみです。そして、そのようなシステムで成長したアーチャーが全日本で活躍するようになると、何かが変わってくるのかなと思います。

  9. ご指摘は良く分かります。
    音楽教育でも身体動作を扱ったことがあるのですが、身体動作データの解釈はプロ(自宅より高価な器材を抱えて移動するような方々)、つまり正解を知ってる人間でないとまず無理でした。動作解析は、客観視を助けるツールであって、「信頼できる」指導者による指導を補強するもの、という位置づけが妥当だろうと思います。
    それに、プロでも可視化(グラフ化)による新たな気づきがあったりするので、結局、動作毎(例えば「リリース時」)あるいは習熟度毎(初心者か全国レベルか、等)に、分析と指導の事例を蓄積していく手間は避けられないと思います。ここは人工知能云々では早々解決できない課題です。逆に言うと、先行者利益のある部分でもあると思います。

    まずは蓄積した事例の再利用を自動化することが、最初の目標になるのではないかなと思います。
    最初は、実際の映像や各部の動き等のデータを見ながら、指導案を手作業で考える形になります。ここまでは、今までもやられてきたことかと思います。
    これに加えて、出てきた「指導条件」、例えば、「初心者」「グルーピングわるい」「リリース時に引き手が外へ逃げる」のような組み合わせを記録します。更に、指導案で利用するグラフや写真の種類、指導コメント等も記録しておきます。
    これらの記録があれば、毎日の身体動作データから、自動で過去の指導方法のテンプレートを引き出せるようになります。特に初心者相手であれば、数十もテンプレートが揃えば、その組み合わせで、1年くらいは指導の半自動化ができるのではないでしょうか。
    更にはその指導方法が最適だったのか、生徒の上達具合から確認することもできます。

    単発の製品であれば最初から一定の完成度が求められますが、継続的なコーチングサービス(動作解析はコーチの作業支援)であれば、アルゴリズムの完成(自動化)を待つ必要は無いので、スタートアップは問題無さそうです。

    ただ、結局はどこから費用を回収するのかという話になるので、少し学校教育関係の情報を見てみたのですが、酷いもんですね。部活動指導員が単年度契約の1日4時間勤務で時給1500円、とか。予算ないんだなーって感じですね。武道必修化の中に洋弓も入れてくれれば良いのですが。

    スポーツクラブとかに売り込めれば良いんでしょうが、新たに洋弓施設に投資させるのは難しいでしょうね。テニスコートとかなら、時間単位で転用も可能と思うのですが。

    ビジネス化の前に、大学と連携して、学生に試作してもらう案もありそうです。体育系以外にも、身体動作やコーチング等をテーマとする研究者はいるので、大学院生が修論のテーマを考える時期に研究室へ持って行けば、手をあげてくれる人がいるかも知れません。先方の都合もあるのでお約束はできませんが、ご興味あれば何カ所か紹介させて頂くことはできます。

    ここまで書き込むと思ってなかったので、ずっと匿名のままですみません。
    もし最後の部分にご興味がありましたら、メールでご連絡いただければと思います。

  10. ご提案の内容はおおむね理解できました。ただ、このようなプロジェクトで一企業が先頭になって進めていくのはいろいろと不都合です。

    https://archerreports.org/2017/10/%E8%B6%B3%E3%81%A7%E5%B0%84%E3%82%8B%E7%94%B7%EF%BC%81%EF%BD%9E%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%80%80%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%83%E3%83%84/

    以前に、NHKの動作分析の企画に技術協力で参加しましたが、まぁ、ざっくり言えば、技術協力料から始まり、公的な施設使用料に至るまで、すべてのフェイズにおいて、公益(国家放送NHK)目的と、弊社のような私営企業とでは、同じことしようとしても、大きくかかるコストが異なってきます。

    指導者の方が主導するプロジェクト、または、公的な研究でスタートしているプロジェクトに関して、(もし依頼があれば)技術的に協力する程度に考えています。現状ではMantisに乗っかかってノウハウの蓄積する方向で進めているところです。

  11. 仰るとおり、拘束時間も長い割に投資対効果を見込むのは難しいかも知れません。何かしらポジティブな結果につながれば良いなと思ってはいるのですが。

    いやどうも先走り過ぎてすみませんでした。そしてお付き合い頂きありがとうございました。

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