最適リム差し込み角度という謎の概念のはじまり。

年に1-2度は、お客様から「リムの差し込み角度」についての質問を受けます。聞かれ方はいろいろとありますが、要約すれば、リムボルトを何回転した位置でリムの性能が最大限発揮できるのかという質問です。しかし、当然ながら、そんな位置は存在しません。

厳密に言えば、最大の効率性が出る位置はありますが、それはリムボルトだけではなく、弦の長さと、個々人の引き尺によって決まるものですのですが、メーカーで設定された値があると思い込んでいる人がいるようです。一人くらいであれば、正してあげればよいのですが、何人もいると、そん勘違いをする原因を探りたくります。1年くらい考えていたのですが、別の記事の構成をしているときにひらめきました!

かつて、日本にあったヤマハの影響ですね!その時に雑誌アーチェリーか、プロショップで聞いた話を覚えていて、誰にも訂正されることなく、今に至り、それを今のハンドルに当てはめた結果です。

相変わらず、下手な絵ですみません。リムの差し込み角度調整機構(それによってポンドを変更する)を簡易化したものです。現在の弓で採用されているものも、かつて、ヤマハで採用されていたものも、どちらも、力点と支点の位置関係を変更することで、ポンドを調整します。しかし、現在のシステムでは、力点(リムボルト)の位置を変更するので、力点とグリップのピボットポイントの位置関係は変更されません

対して、かつて、ヤマハが採用していたシステムでは、力点(リムボルト)ではなく、リムとハンドルの接合部の厚みを変更して、支点の位置を変更するシステムでした。この場合、ポンドを変更すると、リムボルトとリムの支点の位置関係が変わるだけではなく、ピボットパイントとの位置関係も変わり、ポンドを変更することは、ポンド調整の意味だけではなく、ハンドルをより、デフレックス設計にも変更することを意味します。

ピボットポイントの位置とリムの支点の設計はハンドル設計において、大きな意味を持つものです。かつてのヤマハでは、ポンドを最も上げた時に、ピボットポイントとリムの支点の位置が設計された位置の来るということでした。

当時ヤマハハンドルでは、リムの”支点”が最も性能を発揮する位置が存在していて、それは、ポンドを最大にした時でした。しかし、それはその位置のリムの角度が最適という意味ではなく、その位置でピボットとの位置関係(ジオメトリ―)が最適という意味です。

しかし、現在のポンド調整システムにおいては、元々リムの支点は固定されていて、変更するにはハンドル自体の買い替えが必要で(*)、お客様がいじれるものではなくなっています。

*ORIGINAL EARL HOYT GEOMETRY = 直線  / HP(ハイパフォーマンス) GEOMETRY = 少し的側 = リフレックス

まとめると、リムの支点を変更してポンドを変更するヤマハ式の調整方式においては、設計者が意図した最大限の性能が出る位置が存在しましたが、現在のシステムでは、その位置関係はポンドを変更しても変わりませんので、まだ、ヤマハのハンドルを引き続き使用している方を除き、そのような概念はもう存在しません。


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Ryo

Ryo

山口諒 - JPアーチェリー代表。担当業務はアーチェリー用品の仕入れ。リカーブ競技歴13年、その後コンパウンドに転向。リカーブ・コンパウンド両方で全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は2位(準優勝)。

5 thoughts on “最適リム差し込み角度という謎の概念のはじまり。

  1. 記事の投稿ありがとうございます。
    これまでハイトを調整する時、人によってはリムボルトを調整しろ、他の人には弦の長さを捩ることで調整しろと言われ、凄く混乱していました。
    たしかに山口さんの記事の通り、最適な角度は無いかも知れません。
    ただ流石に、角度の上限下限はありますよね?
    例えば、リムボルトとリムの間に紙一枚入らなければならないとか、ボルトを緩めてもネジ山何個までが見えた方がいいとか。

  2. 追加で質問です。
    では、適切な弦の長さはありますか?
    もし有るのならばその長さの弦を作り、あとはボルトの調整だけでハイトを調整しようと思います。

  3. >これまでハイトを調整する時、人によってはリムボルトを調整しろ、他の人には弦の長さを捩ることで調整しろと言われ、凄く混乱していました。

    それは、「ハイトの調整」という言葉が通じていないからだと思います。

    「ブレースハイト」の調節は弦で行います。「ティラーハイト」はリムボルトで調整します。

    >ただ流石に、角度の上限下限はありますよね?
    >例えば、リムボルトとリムの間に紙一枚入らなければならないとか、ボルトを緩めてもネジ山何個までが見えた方がいいとか。

    はい、物理的にリムはリムボルトと正しく接している必要があります。

    リムボルトとリムの先端が接する必要があるので、紙一枚というのはチェックの基準ですが、隙間は必要です。

    緩める方ですが、リムボルトとリムが接していれば問題はないのですが、組み合わせによっては、ボルトがハンドルに入っている山の数が少なくなりすぎるので、チューニングに慣れていなければ、4回転というのが基準値です。

    >では、適切な弦の長さはありますか?

    何を適切と考えるかによります。たとえば、矢速を求めるなら、弦が腕に当たらず、グルーピングの悪化が始まるギリギリまでブレースハイトを下げていくのが適切ですが、弦が腕に当たってグルーピングに影響がある場合は、逆に最もリムが落ち着く、少し高めのハイトが適切です。

    まずは、自分がどのような「弓」を必要しているかを具体化することが始まりだと思います。

  4. すみません。
    気になったので割り込んでの質問です。

    〉何を適切と考えるかによります。たとえば、矢速を求めるなら、弦が腕に当たらず、グルーピングの悪化が始まるギリギリまでブレースハイトを下げていくのが適切ですが、弦が腕に当たってグルーピングに影響がある場合は、逆に最もリムが落ち着く、少し高めのハイトが適切です。

    ブレースハイトがメーカー推奨値の範囲(例えばCXTの25インチでMリムなら21.0〜23.5cm)でも上記コメントにある “グルービングの悪化(リムが暴れる?)〜リムが落ち着く” という現象が(全国大会出場の上級者でなく)一般的なレベルの選手でもわかるものなのでしょうか?
    逆を言えば、メーカー推奨値の範囲で調整してリムの安定性やグルービングの変化がわからないレベルであれば全国レベルの大会に出場出来るような腕ではないのでもっと練習して腕(変化を感じ取れる能力)を磨きましょう…という判断基準の一つになるのでしょうか。(しかし変化がわからなければ自分の最適な位置もわかりようがないのでしょうが)

  5. >しかし変化がわからなければ自分の最適な位置もわかりようがないのでしょうが

    人にもよりますが、1インチブレースハイトを変更すれば、その違いに気が付かない人はいないと思います。ただ、たまに射場で逆リム(リムの上下を間違えてつける)で射ってても気がついていない人もいるので、鈍感な人はいるかもしれません(-_-;)

    ハイトでも、スパインの選択でも、スタビライザーの選択でも、違いが判らないという人はあまりいません。難しいのは、違いが分かったところで、どちらのほうが自分の適しているかの判断です。自分も2015年は全日本への出場に向けて、スパインの選択で3か月間悩んでいました。

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