この記事は2017年11月27日に書かれたものです。最新の情報とは異なる可能性があります。ご注意ください。

勝てない最後の一射/2018年のルール変更について。

スマホ画面われたので本日機種変しましたところ、旧スマホより、書き忘れていたネタがいくつか出てきたので、ここで。

まずは2018年に変更されるルールです。WA(世界アーチェリー連盟)での変更ですが、全日本アーチェリー連盟もそれに沿うようルール変更が進むと思います。

大きなところでは2点です。

1.勝てないときは射たなくてよい(*)。

*(原文) During matchplay in all disciplines, an athlete or team will no longer be forced to shoot their final arrow if unable to win the match – although it would be down to that athlete or team to make the decision.

つまり、リカーブで4-4であと1セットで負けるとき、相手が先に3本で30点を出してしまい、自分がその時点で19点だった場合は射つ必要がないとのことです。コンパウンドの場合も、最終エンドで相手が150点を射った場合、自分がその時点で139点以下なら射つ必要がないとのことです。ただ、射つ必要がないというだけで、射ちたいならどーぞという感じのようです。

2.シュートオフの1回目はリカーブ10点、コンパウンドXなら引き分け(*)。

*(原文) If both recurve athletes shoot a 10 or compound athletes shoot an X10 with their shoot-off arrow, a second tiebreaker arrow will be shot – with the winner of the second tiebreaker decided on which arrow lands closest to the middle of the target.

現状、全ア連では、「個人戦のとき i.得点による1射のシュートオフを行う。 ii.同点の場合、中心に近い矢により決定する。」とされていて、1射目から的に近い矢で勝敗を決しますが、今後は、1射目がリカーブ10点で同点、コンパウンドがXで同点の場合は、測定をせず同点として、2射目から距離の測定をすることとなるようです。

シュートオフの調整はともかく、勝てないなら射たなくて良いっというのは大きな変更のように思います。国内でも近いうちに適応されるはずです。

また、ホットな話題で、パラ競技のシューティング時間で20秒から30秒となります(*)。

*(原文) Other accepted bylaws included increasing the time allowed for individual alternate shooting in para archery competition from 20 to 30 seconds.

先日、NHKの取材のときに、マット・スタッツマン選手が予選ではトップの成績でも、トーナメントには弱いのはなぜかといった話題が出た時に、個人的にこのような回答しました。彼のような射ち方では20秒/1射は結構厳しいと思われます。矢をつがえる時間が違うので、時間との戦いがより厳しいです。今後、30秒になることで彼のような選手には有利になるのではないかと推測します(パラ競技のみです)。

参考:https://worldarchery.org/news/154298/executive-board-confirms-alcohol-ban-pre-congress-meeting


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Ryo

(株)JPアーチェリー代表。担当業務はアーチェリー用品の仕入れ。リカーブ競技歴13年、コンパウンド競技歴5年、2021年よりターゲットベアボウに転向。リカーブとコンパウンドで全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は2位(準優勝)。次はベアボウでの出場を目指す。

6 thoughts on “勝てない最後の一射/2018年のルール変更について。

  1. ランページマテリアル1ポンドでは1.5カムcp弦3本が何セットほど制作できそうでしょうか?平均的な長さと束本数で結構です。

  2. 個人的には、二つ目の変更の方が大きく感じます。

    というのも一つ目はルール改正の有無に関わらず現行ルールでも新ルールでも同じ戦況なら勝敗は変わりません。

    しかし二つ目はルール改正によって現行と新ルールで勝敗が同じ状況でも変わるからです。

    ただ、一つ目のルール改正は後攻選手が相手の得点(セットポイントのみならず、素点まで)を知ってることが前提で始めて活きるルールです。

    その前提が成り立つのは交互射ち、尚且つ速報点が分かる状況(各種トーナメントのメダルマッチ及び五輪など)のみです。

    しかしその交互射ち且つ相手の速報点が分かる状況でも、あくまでも速報点です。
    リオ五輪男子個人決勝の様に、解説のテクミチョフさんがライン上の得点を読み違えるが故に、ク選手が6-0で勝ったと勘違いしぬか喜びするシーンもありました。
    なので後攻選手が3射セットで絶対にこのセット、このゲーム負けたな、と確信した時点で始めて今回のルール改正がが活きるのかな、と思います。

    ただこの射たなくていい最後の1射ですが、3射セットの個人戦で起こる可能性は低く、4射セットのミックス戦、6射セットの団体戦で起こる頻度は割と高いです。
    今回のルール改正は、団体戦でも適用されるのでしょうか。

    長文失礼しました。
    またコメント書かせていただきます。

  3. 再コメント失礼します。
    シュートオフ1射目リカーブで両者10点なら再シュート突入と有りますが、こちらは10対Xでも同じことが言えますでしょうか。

    また、現行ルールについて質問です。
    シュートオフ1射射って真ん中に近い方が勝利というルールは認識しています。
    ただ、この真ん中に近い方というのは、審判の目視によって下されるのでしょうか、それともメジャー等を使用した上で下されるのでしょうか。

    私は後者の認識を持っていまして(ルールブックに書いてあった気が…)、計測の結果、ミリ単位でも同じ距離ならば再シュートオフだと思っています。

    しかし先日某トーナメントのシュートオフで、スコープで見た限り際どい結果なのは確かだったのですが、審判がぱっと見のみで再シュートオフの判定を下していました。
    厳密にはどちらの計測方法が正しいのでしょうか。

  4. >今回のルール改正は、団体戦でも適用されるのでしょうか。

    はい、全競技(matchplay in all disciplines)とあるので適用されるはずです。

  5. >シュートオフ1射射って真ん中に近い方が勝利というルールは認識しています。ただ、この真ん中に近い方というのは、審判の目視によって下されるのでしょうか、それともメジャー等を使用した上で下されるのでしょうか。

    WA公認の試合では

    When measuring the distance from the centre this should preferable be done by using a measuring device that can be locked and transposed from one target to another. Do not use digital devices for measuring the distance from the centre to the arrow. If the distance is very close (less than 1mm), and you are in doubt, declare both athletes still tied and allow them to shoot another arrow.

    *WORLD ARCHERY JUDGES’ GUIDE BOOK ver.Aug-2017 より

    となっています。デジタルではないアナログな測定道具で測定するとあります。

    また、”If the distance is very close (less than 1mm), and you are in doubt”、注目するところは、”and”の部分ですが、もし、どちらかのアスリートが審判結果に不満で、再測定して1mm以上の差がない場合には再シュートオフとなります。

    さて、流れとしては、ジャッジの結果に「不満」が出た場合には、正しく再測定するということだと思います。なので、目視でも、メジャーでも特に関係ないと考えます。両選手が納得すれば、それが結果、納得しない場合には、測定できるメジャーを審判がきちんと用意しているのであれば問題ないのではないでしょうか。

    なので、先日観戦された某トーナメントで選手から再シュートオフ以上の距離があるはず(1mm以上差がある)と抗議を受けて、審判が取り合わなかったら問題ですが、そうでなければ正しい運営だったと思います。

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