この記事は2015年3月29日に書かれたものです。1年以上前の記事は内容が書かれた当時とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

2014年度、全国選抜大会に男女ミックス戦の意味

Dielen_Tom_WA2013年度までシングル形式だった高体連の選抜大会が、今年からは70mラウンドの予選後、個人と男女ミックスのトーナメントに変更されました。個人戦のトーナメントは慣れたものですが、男女ミックス形式の試合はほぼ行われていないと思います。当日、自分は会場にいませんでしたが、ブース担当からは、ミックス形式で行われた試合にはいろんな意見があったと聞きました。

では、なぜ、ミックス形式の試合が行われたのか。前からWA(世界アーチェリー連盟)はコンパウンドよりも先に、まずはリカーブのミックス形式をオリンピックに入れようというとしていて、ちょっうど良いタイミングで、USAアーチェリーがWAのトム・ディーレン(Tom Dielen)さんにインタビューを行ったのでそれを翻訳してみました。

USA ArcheryのWAインタビュー記事「Compound Archery: an Olympic Hopeful? 」を翻訳した内容です。

コンパウンドアーチェリー:オリンピックの可能性は?

コンパウンドアーチェリーがオリンピックの種目になったらどうなるのだろうか?アーチェリー界に対する利益は明らかだ。スポーツそのものに注目が集まり、オリンピックでのアーチェリー競技におけるメダル数も増える。いずれにせよ、アーチェリーはアーチェリーであり、どんな弓を射とうとも、それは他の人にとっては同じことである。

しかし、果たしてコンパウンドアーチェリーがオリンピックの種目になる可能性はあるのか?そして、それを実現させるためには何が必要なのだろうか?今もっとも注目されているこのトピックのめ、私たちはアーチェリー競技の国際連盟機関であるWAの事務局長トム・ディーレン(Tom Dielen)に話を聞いてみた。

−世界中のコンパウンドアーチャーとリカーブアーチャーの比率を教えていただけますか。

世界全体でそれぞれのアーチャーがどの種類の弓を射っているのかを数えることは非常に難しい。これは、連盟のメンバーに加入せずに、地元のクラブやビジターセンター、ショップなどでも恒常的に射っている人が少なからずいるからです。

実際に数値化できるのはWAイベントなどで競技をしているエリートアスリートたちの数で、彼らに関しては彼らがどんな弓を使っているのかまで分かるので、リカーブとコンパウンドの比率を確認することはできます。

2014年シーズンの世界選手権(インドア・フィールド)とアーチェリー・ワールドカップステージでは、リカーブは909名、コンパウンドは653名がエントリーしたので、比率としては60:40といったところでしょう。

また比較的規模の大きな団体(国内のアーチェリー連盟など)主催する大会などでは、これが大体70:30くらいの割合になるでしょう。

特に北米ではカジュアルコンパウンドアーチャーの数が非常に多いことは知っていますが、私たちとしては彼らを競技アーチャーに取り込むことを目標にしています。

−なぜコンパウンドアーチェリーはオリンピック種目にならないのでしょうか?

コンパウンドアーチェリーが初めて世界選手権に取り入れられたのは1995年、フィールド競技とインドア競技が導入された後のことです。その僅か3年前に、WAは現在のオリンピックプログラムにおけるリカーブアーチェリーの価値を大きく変えることになったマッチ戦方式を導入しています。

これに続いて1990年代後半、コンパウンドをオリンピック種目にしてほしいとの初めて要求したのがジム・イーストンでした。しかし当時受け取ったフィードバックでは、「これ以上競技者の数を増やすことができない」、「方式がリカーブと酷似しすぎている」、そして何より「コンパウンドは普遍性に欠けている(世界の異なる地域や国からアピールや参入が少なすぎる)」との返答を受け取りました。これに加え、当時はアーチェリーの立場そのものが現在ほど強くなかったのです。

特定の競技や種目をオリンピックプログラムに加えることは簡単にできることではないのです。競技は毎回4年ごとにおこなわれる会議の投票で参加の可否が決定され、それがひっくり返ることは滅多にありません。

しかし昨年12月にIOCが「五輪アジェンダ2020 改革案(Agenda 2020 recommendation)」を受け入れたことで状況が変わり、オリンピックプログラムを競技ベースからイベントベースで考えるようになったのです。

−ではコンパウンドアーチェリーがオリンピックゲームに加えられた場合、WAの立ち位置はどうなるのでしょうか。

WAはオリンピックゲームでより多くのアーチェリー競技とメダルが加えられることを望んでいます。最初の目標はリカーブ種目においてミックスチームを加えることです。このゲームでは参加する選手の数が増える訳ではないので、変化は大きくないと考えています。

同競技のコンパウンド競技者がオリンピックに出場し、国際的に各国で露出をする機会が生まれるのはとても素晴らしいことです。2014年アジア大会でコンパウンドが初めて導入されたときのインド選手団の例があります。同国はアーチェリーのコンパウンド種目で獲得したものを含む4つのメダルで、ランキングのトップ10に入ることができました。どこにもこれがリカーブのメダルかコンパウンドのメダルかなどは書かれていません。それは同じアーチェリーにおけるメダルとしてカウントされています。

さらに、現在急成長を遂げている、多数のスポーツが一度におこなわれるイベントのワールドゲームでは、既にコンパウンドが導入されています。次の大会は2017年にワルシャワで、そして2021年にはアメリカ・アラバマ州のバーミンガムへと向かいます。また2013年カリ(コロンビア)大会では、多くの観衆がコンパウンド競技を見学に来ました。2021年のバーミンガム大会はコンパウンドアーチェリーをアピールする、まさに絶好のチャンスなのです。何より、IOCは既に「アジェンダ2020」にサインし、ワールドゲームとより密接に連携していくことを決めています。

基本的にIOCは、ワールドゲームを新たなイベントのテストの場としてとらえています。したがって、私たちとしてもワールドゲームで将来的に大規模なコンパウンドイベントを開催したいと考えています。USAアーチェリーと共同で、バーミンガムでは決勝戦に10,000人の観衆を集めることを目標としています。

これによって、私たちは明確なメッセージを伝えることができるでしょう。またWAは、アジア大会に続いて他のコンチネンタルゲームなどにコンパウンドを加え、さらに露出の機会を増加させようと努力しています。

−IOCが新たなイベントを追加するときに使用している基準はどんなものですか?

オリンピックゲームに新たな競技を加えるときには、様々な点で評価されます。例えば参加者数、競技人口、性別の割合や競技レベル、若者の参加率、高潔さや独自性などです。そして中でも重要なのが、テレビでのアピールです。

コンパウンドアーチェリーはオリンピック種目として高い質を持っています。しかし、スケートボードやスカッシュ、ウェイクボードや3×3バスケットなどと比べると、非常に苦しい戦いになるでしょう。

2016年のオリンピックゲームでは、ロンドンでおこわれた夏期オリンピックの26競技に加え、23の競技から追加要請が送られてきました。素晴らしいアイデアを持っているのは、私たちだけではないのです。

さて、コンパウンドアーチャーがオリンピック会場に入ってくることを想像した今、それを現実のものにするためには何が必要なのか。この戦いをアーチェリーファンはどうやって支援することができるのか、そして運営団体は何をすべきなのか。次回の連載では、このイニシアチブの次の段階について考察する。


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Ryo

Ryo

山口諒 - JPアーチェリー代表。担当業務はアーチェリー用品の仕入れ。リカーブ競技歴13年、その後コンパウンドに転向。リカーブ・コンパウンド両方で全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は2位(準優勝)。

7 thoughts on “2014年度、全国選抜大会に男女ミックス戦の意味

  1. ミックス戦の浸透は、団体戦廃止の危険性を孕むので反対!と言っている人がいるのですが、どうなのでしょうか。

  2. >ミックス戦の浸透は、団体戦廃止の危険性を孕むので反対!

    以前に「陰謀ではない…少なくともアーチェリーは」という記事を書きました。現在、WAの総会(次回は今年)はYouTubeで中継されており、今後、WAはどの方向性を目指すかは、非常にオープンな状態であると考えます。私たちにはWAの総会に出席する権利すら与えられています。

    そのうちで、上記の記事を読んでいただければわかっていただけると思いますが、話の流れは

    ・オリンピックでのアーチェリーの存在感を向上

    ・そのためには、アーチェリー競技によって得られるメダル数を増やすこと

    ・コンパウンド競技を新規追加したい

    ・IOCから「これ以上参加アーチャー数を増やすのは困難」と回答

    ・であれば、ミックス戦を新規導入すれば、参加者数を増やすことなく、メダル数を増やせる

    と、こんな感じです。少なくとも、ミックス戦が浸透した結果、団体戦が廃止されるなどといった話はWAレベルでは全くあり得ない話です。
    競技形式を減らせば、その分メダル数が減り、オリンピックでの存在感を減らすことにつながります。
    全ア連も同様の考え(WAが廃止しないなら廃止はしない)と考えます。

    ただ、都道府県レベルではいろいろな考えがあるので、そのレベルではあり得る話です。

  3. 選手総数の決まっているオリンピックにおいて、他種目追加の圧力が高まった際に、アーチェリーの選手数を減らして(団体→ミックス)、その人数を当てる、という点を心配しているそうです。

    もちろん、そうならない事を願っています。

  4. >選手総数の決まっているオリンピックにおいて、他種目追加の圧力が高まった際に、アーチェリーの選手数を減らして(団体→ミックス)、その人数を当てる、という点を心配しているそうです。

    理解しました。10-20年の間にそのような事態は起こらないと思いますが、もっと長い目で見れば可能性としては否定できないですね。
    そうならないためには、WAの活動を応援することがベストかなと思います。

  5. すいません初心者ですが急に質問させていただきます
    現在実質38ポンドのGMXを使用していてそろそろサイドロッドの装着を検討しているのですがVバーの種類が多くて悩みます
    スタビライザーはHMC+28でサイドは同モデルの11で角度は40をけんとうしております

  6. すいません誤送信してしまいました続けます
    種類はCXシリーズやカルノあたりを考えているのですがいまいち決定出来ません
    弓の安定や飛び出しどちらを重視するかなどがあるのだとは思いますが…
    よりスタンダード寄りなのを選びたいと思います、おすすめのVバーを教えていただけたら幸いです
    結構無茶苦茶な質問になってしまいすいません

  7. win_cxVバーとカルノVバーの比較

    >よりスタンダード寄りなのを選びたいと思います、おすすめのVバーを教えていただけたら幸いです

    写真の通り、ベースはカルノ < CXカーボン < CX2カーボンの順に広くなっています。これら以外のVバーと比較しても、もっとスタンダードな設計のものはCXカーボンかと思います。

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