【正式発表】ホイット2015年のターゲットモデルはポディウムXシリーズ

ホイットHOYT_Podium-X_Elite Series深夜の1時過ぎから2015年モデルの発表が始まっています。逐次更新のようです。こちらは、2時に出社して情報の整理をしています。

ホイットHOYT_Podium-X_Elite Series_ハンドル_イメージ写真まず、最初に発表されたのは新しいターゲットモデルコンパウンドボウのポディウムX(Podium-X)シリーズです。ショートモデル(37)とロングモデル(40)があり、かつ、カムも2種類から選択できるので、全部で4種類です。

HOYT_SpiralX_CAM_Pro
まず、新しいシステムとして特徴的なのは、スパイラルXカムを進化させた、スパイラル・プロ(Spiral Pro)カムです。スパイラルXカムと同様の特徴を持ちながら、ドローレングスをモジュール交換によって実現した最新のカムで、シングル(1440ラウンド)から50mのみになり、低ポンド、低レットオフと言う選択をする選手が増えている実情に非常にマッチしたカムだと思います。入荷が楽しみです。

ホイットHOYT_Podium-X_Elite Seriesに搭載されるケーブルガイド残る新システムはどれも新しいものではなく、まず、2011年、3年前にドイツで開発されたアークテックのCPRシステムを…そのままぱっくたのではないかとさえ思える…少なくともこの写真からは進歩を見つけることができない新しいケーブルガードです。

ホイットHOYT_Podium-X_Elite Seriesに搭載されるグリップシステムそして、アメリカ国内のプロコーチにずっとホイットのグリップは低い低いと言われていたのを、グリップの角度をモジュール交換で高く設定することができるようにしたモジュラーグリップシステムです。スタンダード、+2度、+4度、+6度が選択でき、プラス4度かプラス6度でライアルズ氏の推薦する22度になるようです。

ホイットHOYT_Podium-X_Elite Series_赤ハンドル
HOYT_2015年コンパウンドボウカラーオプションで、前にコメントでも書きましたが、新色が出ます。上記が2015年モデルのカラーオプションです。2つフュージョン色が廃止され、新しいフュージョン系の色は発表されませんでした。

1980231_468853909923967_3073017914280028516_oターゲットカラーの詳細です。

Mathews2014win2012から2014年シリーズのワールドカップで3年連続でマシューズ(しかも10年間販売され続けているモデル)に負けたホイットは、この4つの新しい特徴(新ハンドル・新カム・新ケーブルガード・新グリップ)で2015年のターゲットで挽回を目指すものと思われます。どうなるか楽しみです。結果が出るのは1年後ですね。


【アーチェリーテクノロジーを読む1】パワーストロークに対しての新しいアプローチ

この3連休、アーチェリーテクノロジーを読んでました。全日本前なのですが…ちょっと肩を痛めています。

下記、専門的な話です。興味がある方だけに。

先週届いたアーチェリーテクノロジーの中身を少し紹介できたらいいかなと思い。記事にまとめました。

90年代の日本メーカーのアーチェリー技術に対しての理解について残されている資料はアーチェリー教本(2000年版)などしかないのですが、そこに書かれていることが本当に2000年段階での最新の知識であれば、その知識はあまり古いとしか言えません。誤りも多数あります(もちろん2014年の段階で2000年に書かれた本を指摘するのはフェアではありません)。

日本の弓が世界を席巻した時期もあったので、おそらくはそうではなく、欧米と違い、公立の研究組織に所属している(メーカーから)独立した研究者が存在せず、アーチェリー技術を研究していた研究者がみんな商業メーカーの人間だったので、最新の理論を発表できなかったのが理由なのではないかと推測しています。

ヒックマン博士の次に有名な研究者にボブ・コーイ(Bob Kooi)さんがいるのですが、工学ではなく、数学者の方で、論文が(自分には)難解すぎて、何度か挫折しました。

Bob_kooi
(Bob Kooi, On the mechanics of the bow and arrowより)
この本の中では、新しいコーイ博士の理論を解説してくれているのですが、それが上のグラフです。昔の日本メーカーのカタログを読むと、とてもfx曲線を大事にしていることがわかります。理由はわかりませんが。

弓を引いた時のドローフォースカーブ(fx曲線)とリリースした時に発生するフォースカーブは異なります。後者はよく、ダイナミックフォースカーブと呼ばれます。それは測定することが困難です。測定のためのセンサの自重が結果を狂わせるためです。

1937年にヒックマンはそれを計算より導き出し、E(Hickman)のようなカーブになることを発表しました。リリース時にいったん落ち込み、最後でドローフォースカーブを超えて一気に矢にエネルギーを伝えます。自分も考える時にこのカーブをもとに考えてしましたが、ボブ・コーイさんは83年の論文で、違うカーブを発表します。それが、グラフのE(This theory)の方です。正直、この理論は知りませんでした。

そして、その根拠、ヒックマン博士との違いはどうやら、弦を直線として計算するかということにあるようです。

コンパウンドボウのストリングの変化Youtubeより

リカーブボウのストリングの変化Youtubeより
上の2つは適当なハイスピード動画から撮ったキャプションですが、リリース時に弦が直線ではなく曲がっていることが確認でするかと思います。これによって、弦にかかる力は一定ではなく、その力も静的と動的では違いがあり、それを織り込んで計算するとリリース後のフォースカーブは2つの山と2つの谷を持つ形になるというのが、83年、現在で最も新しい理論です。

ボブ・コーイ(Bob Kooi)博士の論文はこちら。大学レベルの知識が必要です。

On the Mechanics of the Bow and Arrow
http://www.bio.vu.nl/thb/users/kooi/thesis.pdf

第三章(The Bow)ではこのあたりの話について書かれています。(第一章は単位の話、第二章はアルミやカーボンの素材の特性について)

第四章(Limb Design)に続く。


【ニューヨークタイムズ】ホイットのカーボンハンドルは中国製か?

step15海外のアーチェリーフォーラムでホイットの2015年の新モデルの写真が登場。カーボンウィドウメーカーというモデルでカーボンスパイダーに変わるハイスピードモデルだそうです。写真を見る限り、かなりハイトは低そうです。

いつもなら、この写真が正しいものか確認に時間を使いますが、正式発表ももうすぐなので、ちょっと待てばわかるかと思います。

それよりも、フォーラムでホイットのカーボンハンドルが炎上しています。そっちの方をずっと見てしまいました。

2015 Hoyt Carbon Widowmaker
http://www.archerytalk.com/vb/showthread.php?t=2339067

日本でも一部の人間が問題にしていますが、中国のブドウを輸入して、日本で製造さえすれば、それは国産ワインとなるそうです。ホイットはメイドインUSAを語っています。弓の組だてが実際にアメリカで行われていることは疑いようがないですが、ハンドルは中国で製造しているという話は昔からあり、今回は、ニューヨークタイムズの記事がそのことについて触れていることで、噂として気にしていなかったユーザーまでもが真剣に議論しています。

Racket Manufacturer Creates Market for Something That Isn’t There
http://www.nytimes.com/2010/08/30/sports/tennis/30prince.html

議論の対象になっている記事です。その中で下記の一部が引用されています。

「Now O-Tech holes are increasingly seen in other places, too: on the sticks of N.H.L. players like Detroit’s Pavel Datsyuk, and on the handles of the metal bats of baseball players from Little League to college. The Prince holes can be found on Olympic field hockey sticks from Grays, top-level lacrosse sticks, and even high-performance archery bows from Hoyt. 」

The most unusual application so far is probably the Hoyt archery bow. There are no orderly holes as on other equipment. Instead, three hollow twig-like carbon-fiber tubes twist like a pretzel. (“It’s a liberal interpretation” of O-Tech, Davis said.) Hoyt calls it a “quantum leap” for the archery industry.

The impact of O-Tech technology on the archery industry could completely revolutionize the sport,” Hoyt’s president, Randy Walk, wrote in an e-mail. “These types of technology and advancements within ancient sports don’t come very often.”」

要約するとプリンスのOテクノロジーという会社がホイットのカーボンライザーを作っている(作ってくれた助かっている!)という内容なのですが、ここから、現在、プリンスは中国にしか工場を持っていないのだから、ホイットのカーボンハンドルは中国製に違いない。という話になっています。

見ていくとOテクノロジーがカーボンハンドルを作っているのは間違いないようですが、この会社が中国にしか工場を持っていないのかどうかは…プリンスがアーチェリーの会社ではなく、テニスの会社なので自分にはわからないです。最後のこのピースがつながれば、中国製で間違いないというところで、議論が盛り上がっているようです。

まぁ、個人的にはこの仕事をしていて、私の交渉相手(つまり価格や修理や保証を決定する側の人間)がアメリカの人間であれば、安心して仕事できるので、製品の中心となるパーツが中国製でもあまり気にはなりませんが。

*この件に関して根拠となる資料なく「間違いなくプリンスのラケットは全部中国製ですよ」と言ったコメントをいただいても承認はしませんのでご理解ください。


Scott EXXUS-Core が入荷しました。

スコットのサムトリガーリリーサー第2弾「エクサス-コア」が入荷しました。

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ギラギラした感のない上品な赤でまとまった仕上がりです。

エクサスからやや進化したのが、エクサス-コアの印象。

人差し指の穴が設けられたのは好みの分かれるところですが、エクサスから引き継がれている細身のプラットフォームはコンパクトな印象を受けます。

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サムトリガーはエクサスと同じく自由度の高いポジション調整が可能です。

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ハンドル下部の銀色の部分は交換が可能です。写真は3本掛けモデルです。このパーツを交換すれば2⇒3⇒4本掛と変更できます(パーツは別売り)
下の写真は4本掛け。
エクサスコア3

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上の写真はエクサスとの比較。人差し指と中指からフックまでの距離は同じです。

 

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コチラの写真はバックスピン(トリガーレス)との比較です。コチラはフックまでの距離がバックスピンの方が約5ミリほど長い設計になっています。

 

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3つのリリーサーを並べてみました。いずれもスリムなボディーであることがお分かり頂けるかと思います。
左からバックスピン、エクサス-コア、エクサスです。

独特の形状、スリムなボディー、人とはちょっと違うリリーサーをお考えの方はぜひ☆

エクサス-コアはあちぇ屋CPおよび店舗で販売中です。


正式発表までもう少しお待ちください。G5プライムの2015年モデルのONEの広告開始

G5プライムNEW_ONEG5プライムの2015年モデル、ONE-STX/ONE-MXの広告が掲載されました。

詳細は以前の記事を確認してください。

こうやって並べると、MXとSTXとでは、ハンドルの設計は同じで、シュールスルーを設けているかどうかの違いだけですね。価格の連絡と正式発表はもう少しお待ちください。


アーチェリーの工学的分析本が届きました。

Archery_Technology_james_Park_01アーチェリー研究の第一人者の一人であるJames Parkさんが書いたアーチェリー用品に関する技術的・工学的な分析本「Archery Technology」が届きました。直筆のサイン入りです! ありがとうございます。先月印刷されたばかりなので、最新のアーチェリー関連の本です。

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IMG_20141010_134302中身は射形ではなく、道具についての研究です。専門的な内容なので、高校生以上でないと中身を理解するのは難しいと思います。グラフ上はX10の600番が1次モードで振動するときのフロントノードとリアノードの位置を測定したもので、下は、コンパウンドドローイング時のケーブルとストリングにかかるテンションの変化を測定したものです。

Archery_Technology_james_Parkもう一冊、アーチェリーの世界に初めて科学を持ち込んだヒックマン博士の本と合わせて読むと、アーチェリー技術の進歩を実感できます…ヒックマン博士の本は入手困難ですが、頑張れば見つかります。

Jamespark著者のジェームズさん。

この本、あと2冊あるので興味がある方はぜひありがとうございました。ただ、オーストラリアから直送されているので多少痛んでいます。ご理解いただける方のみ。知識としては、下記のPDFの内容を理解できるくらいであれば、大丈夫です。

Modelling the 3D vibration of composite archery arrows under free-free boundary
conditions


FLEXがアーチェリーシューズの生産を開始

rotador-shootinglineスペインの弦メーカーFLEXがアーチェリーシューズを発表しました。さらに、大事なポイントはスペイン国内の工場で生産するということで、シューズメーカーとのコラボなどではなく、自社完結でシューズの製造に乗り出すようです。

アーチェリーシューズ_オリジナルデザインなので、10個以上の注文でオリジナルデザインが可能です。

verde弊社でどのような形で販売するかは現在検討中です。また、本日FLEXの完成弦が大量に入荷しました。


G5プライム2015の次世代ONEのスペックが出ました。

G5_PRIME_ONE_ARCHERY_STXBowjunky.comより

G5プライムの新しいONEのスペックが出ました。前回紹介した既にこの弓を使用しているポールも間違いないと言っているので正しい情報かと思います。

ONE STX(シュートスルー)

アクセル間: 39インチ
ブレースハイト: 7インチ
IBO: 323fps
引き尺: 24.5-31インチ
ポンド: 40/50/60/70
新型フレックスローラーガイド搭載

G5_PRIME_ONE_ARCHERY_MX
他に同じ設計でハンドルがシュートスルーになっていないONE MXというモデルも発表されるようです。10月末の正式発表、11月の入荷を予定しています。価格は未定です。