この記事は2013年11月14日に書かれたものです。1年以上前の記事は内容が書かれた当時とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

ホイットのクアトロリム 評価テスト その2 - 良いリムです。

vib_02

まず、結論が書きますと、クアトロリムは非常に優れたリムです。矢速こそF7リムと同じレベルですが、引きが柔らかく、ねじれに強く、安定しており、非常にホイットらしい安定した完成度の高いリムです。矢速では上回ったとは言えませんが、安定性の面では、INNO EX POWERを上回りました。2014年にW&Wが新しいリムを発表しないとなれば、クアトロリムはかなりいいところまでホイットのシェアを挽回できる可能性のある素晴らしいリムです。990TXリムぶりに、プロショップの人間として本当にお勧めしたいホイットのリムです。

上の写真は昨日の採取したデータをわかりやすくグラフにしたものです。振動はX・Y・Zの3軸で発生しますが、人間が感知できるものではないので、3軸の振動(加速度)を公式に沿って合成したものです。

比較のために、W&WのINNO CXTハンドル+INNO EX POWERリム(*)のデータも入れてみました。ちなみに、前のテストではF7リムの矢速が202.6fpsで、クアトロリムの矢速が202.0fpsでしたが、INNO EX POWERリムの矢速は202.1fpsでした。

*同じ68インチ/28インチ引きの42ポンド

グラフを見ると発生している振動の大きさは大きく違いませんが、その収まりの速さが大きく違うことがわかるかと思います。

vib_01

それをグラフにしました。「振動の大きさ」はそのまま振動の大きさです。計算の仕方はピックアップ(計測)された合成加速度の量、折れ線グラフの面積です。振動時間は振動が収まるまでの時間です。発射時の振動は一定値以下になると、あとは少しずつ減衰していくので(テストでは振動吸収用品は装着していません)、その値に達した後は別の評価となります。リムの剛性や安定性のテストというよりも、ティラーバランスの適正やノッキングポイントのバランスなどが影響してくる世界ですので、それがリム自体の性能評価に影響を与えないよう考慮しないことにしています。

安定性ですが、それぞれ管理された同一環境で3射ずつでシューティングテストを行っておりますが、その時の計測されたデータのばらつきを評価したもので、数字が小さいほど優秀です。シューティングマシンでリリーサーでシューティングしていても、計測される値にばらつきが出ます。わかりやすい矢速のテストだと、INNO EX POWERでは、

1射目 201.9fps
2射目 202.1fps
3射目 202.2fps
4射目 202.1fps
5射目 201.9fps

といった感じでした。もちろん、リムが原因とは限らず、センサのばらつき、シューティングマシンの微妙な差なども関係していますが、同じセンサ、同じマシンと同じ環境でバラつきがより大きく出るリムがあるとしたら、それがリム自体のバラつきであると考えられます。

テストごとに「振動の大きさ」と「振動時間」の計測値のバラつきを計算したものです。ただ、グラフの大きさが隣の二つにフィットするように、計算値を10倍して表示しています。

vib_03

vib_04F7の値を100としてデータを整理すると上記のようになります。フォーミュラリムはともかく、会社の方針ではないので、店舗では違った対応になっているかもしれませんが、一般的なILFリムで予算関係なくお勧めのリムと聞かれたときは、今まで迷わずINNO EX POWER(またはプライム)をお勧めしてきましたが、F7はともかくとして、INNO EX POWERよりも良い値を出してきていることは驚きです。

リムが重い分、ドローレングスが短い方や、ポンドが低い方には軽いINNO EX POWERリムの恩恵は大いにあると思いますが、引き尺が27インチ以上あり、40ポンド以上であれば、INNO EX POWERから乗り換えても違いを感じることができると思いますが、ただし、振動の大きさ2%、振動時間で17%とでそこまで大きな差ではなく、チューニングして、スタビライザーセッティングを見直すだけで達成できなくもない数字ですので、INNO EX POWER/MK/RCX-100あたりのお客様に積極的に買い替えをお勧めはできませんが、ホイットのF3/F4/990TX/KAYAなどのリムをお使いの方であれば、きっと気に入っていただけるリムだと思います。違いも実感できるはずです。

 

(まぁ、INNO EX POWERはW&Wが2010年に送り出した商品なので、2014年モデルでやっと追い越したとも言えますが)

 

あとは、リムの破損が少なくなれば、INNO EX POWER登場からW&Wに奪われたシェアを取り返す力が十分にあるリムです。

…問題はリムの値段が高い事ですね…すごくいいリムなので、皆さんに使っていただきたいのですが、販売価格をどうするか、もう少し考えさせてください。リムの値段が高いだけではなく、何を迷っているかといいますと、グランプリのほうはメーカーから低価格でレンタルリムを提供してもらっていますが、フォーミュラのレンタルリムは価格がかなり高いのです。現行のフォーミュラF7リムとGP F7リムで販売価格に大きな違いがあるのもそういった理由なのですが…。。。

価格が決まっていなくとも、(価格未定でも良いといった常連のお客様へは)すでに5ペア以上納品しているので、射場に行ったら見かけることもあるかと思います。

GP(グランプリ)・クアトロリムのほうは間もなく販売開始します。


The following two tabs change content below.
Ryo

Ryo

山口諒 - JPアーチェリー代表。担当業務はアーチェリー用品の仕入れ。リカーブ競技歴13年、その後コンパウンドに転向。リカーブ・コンパウンド両方で全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は2位(準優勝)。

4 thoughts on “ホイットのクアトロリム 評価テスト その2 - 良いリムです。

  1. 現在MKX10ハンドル+MACH3リム(S36ポンド)を使用しているのですが、ポンドアップに伴いリムの買い替えを検討しています。
    40ポンドのリムを購入する場合、MACH3とクアトロでは違いを感じることはできるでしょうか?

  2. >40ポンドのリムを購入する場合、MACH3とクアトロでは違いを感じることはできるでしょうか?

    まず、ポンド表示の違いに注意してください。MKは4回転緩めた位置でのポンド表示、ホイットは2.5回転緩めた位置でのポンド表示をしています。
    ホイットの表示40ポンドはMKの表示38.5ポンド相当です。

    違いですが、感じることはできると思います。引きが柔らかくなります(ポンドも上がるので実際には感じないかもしれませんが…)。また、明らかにリムのねじれ剛性が違うことがわかるはずです。振動に関しては、マッハ3でのテストは行っていませんので、わかりませんが、クアトロの大人しさは群を抜いていますので、手に残る振動も減ると思います。

    逆にデメリットとしては、剛性のあるリムはバランスの良いティラーを見つけるまで時間がかかる場合があります。

  3. 現在innoexpowerを使っていて、クアトロの購入を考えています。この検証記事と今シーズンの活躍を考えると、クアトロの優位性は感じるのですが、hoytリムの破損に関して、聞くことがありますので、1シーズン終わってみて、クアトロリムの破損率というか状況に関してどの程度なのか教えていただきたいです。
     

    >>>あとは、リムの破損が少なくなれば、INNO EX POWER登場からW&Wに奪われたシェアを取り返す力が十分にあるリムです。

    という記載の検証もお願いしたいです
    よろしくお願い致します

  4. >聞くことがありますので、1シーズン終わってみて、クアトロリムの破損率というか状況に関してどの程度なのか教えていただきたいです。1

    破損した数/販売した数では、クアトロとEXパワー/プライムはほぼ数字です。

    >という記載の検証もお願いしたいです

    どういうデータがほしいかわかりませんが、昨日まで行われた試合の写真がWAなどで公開されています。弊社で撮影したものも分析後には公開する予定です。

    韓国チームの男子ではW&Wを使用している選手は自分が確認した限りでは8-10人中1名しかなく、ベスト4まで残ったメンバーでは、ベラシティ2名、F7-1名、クアトロ1名でした。W&Wのハンドルを使用しているユーザーも非常に少数になっていました。

    しかし、この時期に2010年のリム(INNO EXシリーズ)と2014年のリム(クアトロ)の比較はメーカーの実力の比較とは言えません。ベラシティも2015年のリムです。現在のウィンのリムの実力は2015年モデルを見てからでないと評価できないと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。