この記事は2013年1月26日に書かれたものです。1年以上前の記事は内容が書かれた当時とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

最大手の競技用弦メーカー FLEX アーチェリー 訪問 その2

前回の記事の続きです。


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次に、弦ではなく、ダンパーやアロープラーを製造しているFLEX ARCHERYの方に移動です。こちらが商品のテストルームです。後ろの角紙の向かって4000コマ/秒のハイスピードカメラを設置して、動画を撮りながら、3枚目のシューティングレンジで開発された商品の研究などをしています。
ここまでが、研究施設と倉庫になります。次に、工場に移動です。工場は大型の機械などが稼働していて、騒音もあるので、オフィス・研究棟とは離れています。
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こちらもなかなかのどかな場所に位置しています。ここサンタンデールはスペインの中でも、日本でいう軽井沢的な位置で、夏にマドリッドが35度になっても、こっちは25度くらいで涼しい避暑地です。エンジニアのグレゴリオさんは地元出身、社長のマリアさんはアフリカ生まれで、3歳の時に移住してきたそうです。
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近くの海はかなり荒れていましたが…よく見たら、サーファーがたくさん…すげぇー根性してるな。。。
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工場の中に入ると…あまり写真を撮れませんが、この方が現在アロープラーの中でもかなり強いグリップ力を持つフレックスプラー2.0を作り続けて○○年のアントニオさんです。金型に部品を入れて樹脂を注入して作るというやり方で、見ている大体1分で3個というペースでひたすらフレックスプラーを作っています。ミスター・アントニオの作ったアロープラーはこちらで★…残り在庫少なくてすみません。間もなく入荷します。。。。
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こんな感じで、作っています。ちなみに工場をあまり知らない方向けに解説しますと、先端企業のハイテク工場は違いますが、一般的にアーチェリーメーカーの工場というのは、今日はハンドルの赤を作る日、明日はスタビライザーのオレンジを作る日、明後日はリムのMサイズを作る日というように、スケジュールを決めて、その間は同じものしか作りません。
なので、オーダーが入った順に作っていくレストラン等とは違い、早くしたオーダーした方が早く作ってもらえるとは限りません。なかなか、納期の見積もりは難しいです。
スペインでは日が昇るのが遅く、FLEXは9時半から業務を開始し、11時半からたっぷり2時間もの昼休み。いわく、「私たちは機械ではないからね~」との事。そのかわり終業は遅く、夕飯は9時から、就寝は1時~3時が一般的のようです。町でもほとんどのレストランは8時半~9時オープンです。
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(ショッピングサイトより引用)
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以前の記事で紹介したFLEXの新しいチューニングできるダンパーの試作品たちが向上の隅に置かれていました。これから生産が始まるそうです。きっと、良いものをアントニオを作ってくれます。このダンパーの名前は「モンテラ(Montera)」です。スペインの闘牛士の帽子をイメージしています。
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暖かく迎えてくださったFLEXのマリアさんとグレゴリオさんに感謝します。今回の訪問で得た技術的示唆は、またいつかの記事で書こうと思っています。
エンジニアのグレゴリオの話の中で最も興味深かったのは、人材採用の話で、この業界での競争力は「素材」しかないとおっしゃっていました。
最初の話に戻せば、「メーカーズ」という運動の中で、だれでもモノを作ることができる時代はすぐにでもやってきます。しかし、今でも2Dのプリンタで簡単に印刷物を製造できますが、良いものを作るときには、やはり印刷屋・印刷のプロに相談しています。何を相談するかというと、素材です(インクは何を使うべきか、紙はどの種類の何グラムのものを使えばいいか)。
アーチェリーの世界でも、500~1,000ロッド単位で、OEMで何でも作れる時代が来ているし、最初の記事で紹介したように、Specialtyからは30~40万円で構築できる弦を作るマシンが発表されました。この時に、FLEXのような専業メーカーの強さは何といっても、素材を吟味する力、素材に対する知識なのだと思います。
原糸に関していえば、同じ原糸でもスプール間でこれほどの違いがあったというのは、知りませんでした。原糸は何種類もありますが、基本的にメーカー(例えば、BCYに材料を収めているメーカーDSM)が作っている原材料は1種類だけです。それをBCYのような繊維メーカーが機械で編んだり・加工したりして、いろんな種類の原糸が製造されます。その時に誤差が生じます。
特に多くの原糸は色付けにワックスを使用しています。このワックスが曲者で、色によって重さが違います。例えば、白と青で、商品はすべて1ポンド=いくらという風に納品されます。弊社でもホームユースように、より小さな1/4ポンドで販売していますが、”色もの”はワックスの分重くなっているので、1ポンドから作ることができる弦の量が、白と青ではだいぶ違います…逆にFLEXでは重さではなく、弦1本いくらで売っているので…白の弦を買ってくれると、うれしいようです。
また、世界中の各国と取引する中での各国のスクール(国の嗜好)については、簡単に書くと同じFF+なら、韓国は44~46ポンドを引くのが当たり前の世界ですから、主に販売しているのは、18-20本弦。このレベルの弦になると、かなり矢速が落ちますが、元々ポンドがあるので、何よりも、弦が安定する事を重視して、韓国のアーチャーは弦を選びます。
次に、イタリアのアーチャーは矢速をとにかく重視するようで、注文するときに一番気にするのは、弦の重さ。負担の少ない軽い弦が最上の弦として扱われるので、イタリア向けには軽い弦を開発して販売しているそうです。
同じような方向ですが、フランスでは細い弦が好まれ、よくFLEXには10本弦という注文が来るそうです。ダイニーマでも12~20までは試したことがありますが…10本弦というのはさすがに…現在の原糸のレベルであれば、10本弦でも破損すことはないのですが、ノックがフィットしないので、サービングを0.24などで巻く必要があり、その分弦は重くなります。
結果的にはそれほど矢速は向上しないのですが、とにかく太い弦というのはフランス人の好みに合わないそうです。理由を聞くのは野暮です。フランスは競技アーチャーの10倍も20倍も趣味のアーチャーがいる国なので、いちいち技術的な裏付けをインタビューしていたら、たぶん嫌われるか…細かい野郎だなと思われてしまいます。
ちなみに、日本で弊社で販売しているのは14~18本弦。10~12のフランスよりは太く、18-20の韓国よりは細く、FLEXいわく、メーカーのマニュアルに従ったよい選択とのこと。
こういった話はさすがだと思います。例えば、矢速の評価や弓の性能評価はある程度知識と熱意があれば、できますが、スプール間の違いを評価、国によるスクールの違い、彼らが持つノウハウは最大のメーカーとして月に100ポンド以上の素材を扱ってこそ分かるものです。ものすごく勉強になりました。
Nimes 2013の記事を見ていただいてもわかり通り、製造を中国に丸投げして、オフィスだけをヨーロッパに構えるメーカーも増えてきました。自ら製造しない”メーカー”について、別に批判するつもりはないし、Decutなどは販売を考えていますが、そのような商売で、自社に素材についてのノウハウ蓄積していくのか、その部分で競争力を持てるのかが、成長していくところと、消えるところとの違いでしょうか。
だれでも、モノ作りができるようになった時代では…どう作るのかではなく、何を使って作るのかが重要になっていくように思います。その点において、弦とプラスチック・ゴムの素材をきっちりと吟味する力を持つFLEXの競争力は当分続いていくと思います。そういえば、昨年訪問し、ヨーロッパで急激に成長しているUUKHAもエンジニアはコンポジット素材のプロですね。
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今後、新規メーカーやメーカーとの交渉の中で、素材についての聞き取りをもっと重視しようかと思いつつ…明日の朝一の仕事は…匂いを嗅ぐこと…です。FLEXから匂い付きのサービングのサンプルを頂きました。匂いを保つため、使用前はパッキングされており、開封後は密封パックにいれるか、Beiterのワインダーが入っているようなケースに入れておけば、2~3か月は香りが続きます。
今までいろんな商品を発注してきましたが、匂いを嗅いで発注するというのは初めての経験というか…市場の傾向とかわからないよ…どうしましょう。。


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Ryo

Ryo

山口諒 - JPアーチェリー代表。担当業務はアーチェリー用品の仕入れ。リカーブ競技歴13年、2014年コンパウンドに転向、2018年よりベアボウに挑戦中。リカーブ・コンパウンド両方で全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は2位(準優勝)。

5 thoughts on “最大手の競技用弦メーカー FLEX アーチェリー 訪問 その2

  1. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    FivicsのCo-STARバックパックが欲しいです。また仕入れてください!

  2. SECRET: 0
    PASS: c543b84aa0508c004992afb649837456
    前回のuukha社訪問記事といい、今回の記事といい、とても興味深く拝見させていただきました。
    (前回は記事を見てux100を試し買いすることにしました)
    ところで、貴店Webショップで販売しているFLEX社のストリングには右用左用の区別はないようですが、製品として左右の区別がないということなのでしょうか。
    宜しくお願いします。

  3. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    FIVICSからの仕入れが遅れています。申し訳ございません。
    月曜日に発送され、今週の後半に入荷予定です。各色5個ずつ入荷します。
    > FivicsのCo-STARバックパックが欲しいです。また仕入れてください!

  4. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    長くなりましたので、記事にしました。書いているうちに自分もこれに"加担"しているひとりだったことを思い出しました…すみませんでした。
    http://jparchery.blog62.fc2.com/blog-entry-1226.html
    > 前回のuukha社訪問記事といい、今回の記事といい、とても興味深く拝見させていただきました。
    > (前回は記事を見てux100を試し買いすることにしました)
    > ところで、貴店Webショップで販売しているFLEX社のストリングには右用左用の区別はないようですが、製品として左右の区別がないということなのでしょうか。
    > 宜しくお願いします。

  5. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    入荷しております、よろしくお願いします。
    > FIVICSからの仕入れが遅れています。申し訳ございません。
    >
    > 月曜日に発送され、今週の後半に入荷予定です。各色5個ずつ入荷します。
    >
    >
    > > FivicsのCo-STARバックパックが欲しいです。また仕入れてください!

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