FIVICS バランスキーパーテストが入荷

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今年の新製品の中で一番の謎の製品でしたが、本日入荷しテストしました。FIVICSのバラン・スキーパー。スタンス・コントローラーという触れ込みで、これを使用することでスタンスのバランスがよくなり、シューティングが安定するようです。
シダスジャパン株式会社
http://sidas.co.jp/

調べてみると、同じようなコンセプトの商品はいろいろとあるようです。実際、使ってみましたが、合うかどうかは人それぞれですね。全員に効果がある商品ではありません。
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横から見るとこんな形状です。もっとも効果を発揮するのは後継気味の人です。商品のコンセプトはバランスを整えるですが、テストした感じでは、正しくバランス・スタンスが取れていれば、この商品を使うとかかとの部分が少し”ふわふわ”している状態になります。不安定ではありませんが、通常のインソールのホールド感はあまりなくなります。
そのために、シューティング中に後傾気味になり、重心が正しい位置からかかと側にずれていくと、重心がかかとにかかってしまっている状態であることが足の裏を通して伝わってきます。そのために、常に足の重心を意識することになります。
この商品を使用することでインソールの形状が変わるために、それによってバランスが改善するというメリットもあると思いますが、何よりも、足の裏を通して、自分の重心が正しい位置にあるのかがわかるというのが、一番のアーチェリーにおいてのメリットだと思います。ただ、練習ではいいと思いますが、試合で使用したら、そこばかりに意識が行くので、良い結果が出るかは微妙なところだと思います。あくまでの練習時のバランス矯正用がいいのではないでしょうか。
逆に、あまり見かけませんが、重心がつま先に側に突っ込んでしまっている人は、さらに重心の位置が悪くなる可能性があるので、使わない方がいいでしょう。重心の位置がシューティング中一定しているか知りたい人、または、後傾気味になってしまっているのを矯正したい人にお勧めの商品です。
4店舗には明日発送しますので、週末には各店舗で実物を試していただくことができます。試していただいて、良かったら購入するのがいいかなと思います。こういう商品は合う・合わないというのが結構あるので…通販では難しいですね。一応アップはしておきますが、販路は店舗を中心に考えています。
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裏側がシール(赤い部分)になっており、この部分をはがしてシューズに貼り付けて固定します。
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取り付け場所は中敷き(インソール)の裏になりますが、シューズによっては、インソールが取り外せないものもあります。その場合には使用できないので、必ず購入前に使用予定のシューズのインソールが取り外せるか確認してください。
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シューズに入れるとこんな感じ。このシューズは27.5cmです。サイズ24くらいまでは問題なく使用できますが、それ以下だと入らないものが出てくるかもしれません。バランス・キーパーはワンサイズのみです。
ぜひ、週末に近くの店舗でお試しください!!


まもなく、入荷します…エリベイン製カラーラッピングテープ

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すみません、またもや取り扱いする予告です。こちらは販売決定です。
特にすごいアイテムではないですが、カラーラッピングテープです。エリベイン製ですが、もちろん、GASPROでも、ROMのスピンでも使用はできます。
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長さは約14cmで、1シートで約2ダースほど製作することができます。メーカーでは10枚のパック入りで販売していますが、20ダース近くも作れてしまうことになるので、2枚セットに小分けして販売する予定です。そのために、メーカー包装ではなく、簡単な透明パックに入って届くのでご了承ください。メーカー出荷の10枚入りパックをご希望の場合は連絡いただければ、その単位で販売できます。
また、裏側には親切にラインにひかれています。これで、それぞれのテープをより一定の感覚でカットしやすくなると思います。おおよそですが、2コマでカーボンシャフト1周分です。
テスト入荷の金と赤は間もなく在庫にアップし、ほかの色、緑・黄・オレンジ・銀・紫・白はもう手配しましたが、来週中の入荷予定です。


DECUTの新型フレッチャー

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中国の新しいブランド(メーカー自体は結構昔からあります)DECUT社のフレッチャーが1台テスト入荷しました。今まで、いろいろな理由で扱ってこなかったのですが、新しくドイツのエンジニアが加わったと聞いて、再度テストをしてみたいと思います。
で、今回はフレッチャーです。
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まず、値段としては4,000円程度で販売できるものです。ベースの金属は剛性はあるものの重みはありません。
設計としては、できるだけレンチを使わないで調整ができるようになっています。「120C(コンパウンド)」・「90」・「120R(リカーブ)」の3つのモードがあり、その切り替えもダイヤルを回すだけです。
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角度調整もレンチを使わずできます。また、シャフトがフレッチャーと触れるところはフェルトのようなものがついています。
見た感じ、良い作りのフレッチャーだと思います。この感じで4,000円を切れれば、最初のフレッチャーとしてお勧めできそうです。
今日、京都店に送って、少し実際に使ってもらってテストし、現場でも問題なしとなれば、本格的にDECUT販売を開始します。


2014年はイングランドに行きます

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さっき、国際連盟からメールが。
自分は商談や取引先・メーカーへの挨拶がメインの目的のNimesトーナメントですが、隣の会場ではワールドカップ2013年の試合が行われています。
上の写真はコンパウンド店のバナーの素材に使おうかなと思って撮影したもの。レオ・ワイルド選手優勝です。
その国際試合ですが、2014年はNimesではなく、イングランドで行われるそうです。理由は、Nimesが2か月後のインドア世界選手権の会場となっているためです。
ということで、5年連続くらいで1月はフランスに行ってきましたが、来年はイングランドに行くことになりそうです。イングランドのメーカーとはあまり取引していないので(ヨーロッパのアーチェリー業界の中でもこの地域はちょっと特殊…アーチェリー発祥の地だけあり独特な慣行の経済圏をなしています)、新しいメーカーを発掘してきたいと思います。まぁ…2014年の話ですが。。


Carterから新作リリーサー・トゥーシンプルが入荷!

 2013年の新製品としてカーターから「Too Simple」が入荷しました。

この全く新しいリリーサーは「シンプル・ワン」をベースに、カーターリリーサーでは定番の『ダブルシアー』システムを導入しました。
これは、Dループからの負荷に関わらず、安定した圧でトリガーを押すことの出来る仕組みで、「シンプル・ワン」さらに「プレイン・ワン」「イージー・ワン」には無かった仕組みです。

そして、今回から新しく採用された機構が「トリガーテンションアジャストメント」。
通常のカーターリリーサーのトリガーテンション調節は、「ITS」と言う仕組みで、付属する硬さの違うバネを交換する事で、トリガーの硬さを調節できましたが、トゥーシンプルはリリーサー本体の上部にあるネジを締めたり緩めたりでトリガーの硬さを手軽に微調整できるようになりました。(調節の際は、ネジのすぐ横にある小さなロックネジの存在をお忘れなく)

もちろん、コッキングボタン操作一つで、同時にフックも閉じてくれるお手軽な仕組みは継承しています。
また、ウルトラショートリリーサーヘッドデザインが、引き尺を長く(約0.6インチ)することを可能にしてくれるので、矢速のアップに期待が持てます。

下の写真は、カーターの代表的リリーサー「ターゲット3」との比較です。

左が「トゥーシンプル(3本掛)」、右が「ターゲット3」
ご覧のように、リリーサーヘッドが、1.5センチ(約0.6インチ)トゥーシンプルの方が短いのが分かります。

ボディーデザインは、2本掛け、3本掛け、4本掛けの3タイプ。
あちぇ屋CP・店舗で販売中ですヽ(^o^)丿


FLEX EVO15 サービング テスト結果

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スケッチ風という加工らしいです…最近はフリーソフトでもこんなことできるんですね。

まだ、試作品なので、FLEXからもらった9種類のサービングに番号を振って、テストしました。香りの専門家が弊社にはいないので、正しく表現できているかわかりませんが、こんな感じでした。サービングの方はすべてブレンデッドで、2色を編んで作っています。

1. 黒x赤 - お母さんの匂い・ナフタリン・洗剤の香り
2. 白x緑 - 温泉・ヒノキ・菖蒲湯
3. 黒xブラウン - リコリス・外国のお菓子の香り
4. 白x紫 - ムスク・ヴィレッジヴァンガードの店内の匂い
5. 黒x青 - 白檀・外国の家の匂い
6. 白xオレンジ - マンダリン・オレンジ・タイのお香の匂い
7. 黒x薄い緑(ナチュラル) - タンスの芳香剤の香り
8. 黒xシルバー - プラスチック消しゴムの匂い・ガム・甘めの匂い
9. 黒xオレンジ - 柑橘系・マーマレード

以上こんな感じでした。全くうまく表現できていないものもあるような気がしますが、大久保店で展示中なので、興味がある方は試してみてください。

結果として、5番をお勧めし、2番と8番をネタ用に仕入れしようと思っています。ちなみに、ヨーロッパの会場での一番人気は6番でした。

そして、FLEXの方と話した時の注意ですが、このサービングは香りを閉じ込めて、持続される加工がされていて、そこが一番のポイントです。それでも、香りは長く持続はしません。巻かれていない状態で2-3か月。巻かれた状態ではもっと短くなり、さらに、雨に一試合濡れたら一発アウトもあり得ます。

ポイントは香りをキープさせる性能で、最初に香りはサンプルだと思ってください。最初の香りがなくなったら、香水など香りづけできるものを定期的にふりかけ(弦にはかからないように)、自分の好みの香りをつけて使用してくださいとのことでした。

これから製造について交渉します。入荷時期は…3月後半くらいだと思います。


Cartel アップグレードしたエントリー向けスタビライザー

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以前の記事で紹介したCartelのスタビライザーが入荷し、本日テストしました。
結論から書きますと、FINEカーボンは予定通り販売を終了し、新しいダイナミックCRカーボン(名前長いのでDCRカーボンにしようと思っています)に移行しますが、アルミ/カーボンはマイナーチェンジ前の元と違いがほぼなく(当社でテストした感想)、卸価格(販売価格でいうと800円くらいの差)も上昇しています。
より高く売る必要があるにもかかわらず、性能差が有意ではないので、入荷した分は販売しますが、終了後はもとのアルミ/カーボンも当分は販売が継続するそうなので、安い前のモデルがある限りは前のモデルを販売します。
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全体的にロゴはすべて今時な感じのデザインになりました。値段が3倍のHMC+と合わせてもあまり違和感はありません。
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フルカーボンのロッドの方ですが、両方の写真ともに上が前モデルで、下が新モデルです。ブッシングは両方とも新しくなり、特にハンドル側のものは加工精度がかなり向上しています。指紋も付きにくくなりいいと思います。また、柔らかいダンパーが標準装備となりました。
テストした感じですが、ダンパー付きになったので、前のモデルとの比較は困難ですが、やっぱり、すごく柔らかい仕上がりになっており、振動吸収性能も良好です。同じフルカーボンではありませんがA/C/Eのロッドに似ています。この価格帯では、抜群の完成度です。
直径はほぼ変わらずは16.9mm。今年はHMC22(22.0mm)なんてのも出るくらいですから、細いロッドです。
重さは28インチが212g(ダンパー・ウェイトつき)、26インチが207gです。ダンパーの重さを考える前のものとほぼ同じ重さです。今日の夕方くらいに在庫にアップします。
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次に、スプリーム(ドインカー?) CX-250 スタビライザーです。こちらはウェイト側の変更なく、ハンドル側のブッシングの変更のみでした。ロッドはより固くなった感じがしますが、やはりダンパーなしでは、振動吸収はよくありません。大きい振動に対する反応は改善されていますが、低価格隊のロッドなのに、ダンパーとのセットでの使用をお勧めするのでは、ちょっと方向性が見えません。
メーカーも素材はいいものを使用しているといっていますし、それはわかるのですが、一点豪華主義はファッションの世界ではありなのかもしれませんが、全体のバランスを考えると…プラスチックやウッドのハンドルに使うのですから、7000番台のアルミよりももっと柔らかいアルミを使うべきなのではないかと思ってしまいます。ロッドは固ければいいものではないので…。
高価な素材を使った安いロッド…競技志向の方に選んでもらうのは難しいし、かといって、エントリー(ウッドやプラスチックのハンドル)では手にあまる商品です。SAMICKのアバンテや、SFのプレミアムにはいいかもしれませんが…ちょっと売り方わかりません。
なので、こちらは今まで同様の、前モデルを販売することにしました。CX-250は26/28インチで5本ずつ入荷しています。安く出しますので、ご希望の方はぜひお願いします。
直径は17mm、28インチで185g(ウェイト込)、26インチで178gです。
あ…アローケース無料キャンペーンですが、在庫限りと言っていましたが、残り在庫確認したところ、このペースだと2月の後半までという感じです。よろしくお願いします。
それと、SAMICKで思い出しましたが、噂で暗黒期を脱して(韓国で何があったのかHOYTのテクミチョフさんが解説しています。ただ、翻訳はしていません。ご理解ください)、ちょっと好転してきたという情報が少しずつ入ってくるようになりました。現在、1万円のアバンテしか販売していませんが、再度、広く取り扱いするか考えます。


ボウストリングの右用/左用

長くなるので記事にしました。コメントの返信です。


> 前回のuukha社訪問記事といい、今回の記事といい、とても興味深く拝見させていただきました。
> (前回は記事を見てux100を試し買いすることにしました)
> ところで、貴店Webショップで販売しているFLEX社のストリングには右用左用の区別はないようですが、製品として左右の区別がないということなのでしょうか。
> 宜しくお願いします。


コメントありがとうございます。まず、記事に書くにあたって、他店のページも確認しました。最大手のS社のネットショップを確認し、自分が知っている限りで一番古いショップも確認しました。どちらも右用と左用の区別はしていません。自分が知っている限りでも、製品で販売しているところはないです。
どの地域でそのような話が流通しているのは存じませんが、以前にもメールにて問い合わせがあったことがあります。しかし、右用/左用という区別は一般的にはありません。
右と左の違いは手が触れる位置だけなので、おそらく、右と左では捻る向きとサービングの巻き方を逆にするというお話だと思いますが、捻る向きに関しては、確かに逆にすべきです。FLEXの製品はほぼ無回転(混合色を除く)で作られていますので、自分に合ったねじりにしてください。弦をねじるのはチューニングの一環ですので、ここでは関係ない話だと思います。
残るサービングですが…まず、サービングの性能は色と太さを別にすると、主には耐久性(アームガードにこすれても切れない)、グリップ(原糸への適切なグリップ)、滑らかさ(スムーズにリリース)、重さ(矢速の向上)です。
以上のすべての要素をあわせもつ完璧な素材は存在しません。そのために、例えば、BCYなら12種類ものサービングを販売しており、用途に合ったものを選択して使うのが一般的です。FLEXの場合EVOシリーズという自社開発のサービングを使用していますし、特注すれば、他社のサービングも使用できます。弊社の場合では8190のセンターサービングのみ、BCYのNo.62XSの0.21を使用しています(*)。
*これはBCYからいきなり8190が発売されたことに伴う措置で、今後FLEXが8190に合うEVOサービングを開発すれば、EVOに戻す予定なので今後もNo.62XSを使用するとは限りません。また、現在テスト中のEVO15(香りつき)がまさに8190にフィットするサービングではないかと思っています。アーカイブや検索でこの記事を読んでいるお客様はお気を付けください。
一般的にノッキングポイントを作るときには、右と左では逆に作ります。これはノッキングポイントの耐久性を高め、解け難くしてくれます。ノッキングポイントの耐久性はどの程度のものかというと、ほとんどのアーチャーは作ったノッキングポイントが壊れることを体験していると思いますが、うまく作っても、練習量をこなしていれば、3か月~半年程度が限界でしょうか。

では、その対策をセンターサービングにいる必要があるのかというと、「適切なサービングであれば」という前提がありますが、現時点でその必要はありません。

適切なサービングとはなにか。センターサービングの好みもあるので、正解はないですが、一般的にはリリースが滑らかになるように、表面が滑らかで抵抗が少ないサービングがお勧めです。タブに力を加えても、弦がタブにグリップせず、自由にタブの中で滑るサービングを選ぶのがいいと思います。それを使ったうえで、自分の好みを探していくのがいいのではないでしょうか。
サービングの向きが逆で、使っていくうちにサービングが緩んでいくのであれば、それは向きが逆だからではなく、サービングの選択を間違えたか(リリース時のタブとの抵抗が大きい)、サービングの巻き方が下手なのか、そのどっちかです。
お客様が左利きのアーチャーで、右巻きの弦を使って、5,000~10,000射程度でサービングが緩んで来たら、向きを気にするべきではありません。サービングの種類を再考すべきです。確かに、同じサービングでも逆に巻けば、多少は緩むまでの期間が長くなると思いますが、それは何も根本的な問題を解決していません。
弦のサービングの右/左はレストダウンのような話です。レストダウンの原因に、ノックを上から押してしまって起きるものがありますが、スーパーレストだと、レストの爪が柔らないので、レストダウンします。これを金属レストで太い爪のものにすることで、レストダウンを防ぐことはできますが、そもそもは、ノックを押してしまうことを止めるべきです。
レストダウンで悩んでいる人に対して、レストを金属に交換すればいいよとアドバイスする人がいたら、そのアドバイスは間違っているとは言えませんが…それは射型の問題を道具でごまかしているにすぎません。アーチェリーをエンジョイしているだけならいい解決法ですが、競技として取り組んでいるなら、そのアドバイスには従うべきではありません。
無分別智じゃありませんが、何の分別も、偏見も、知識もなく、そこに弦があり、たまたまサービングの向きが逆の弦を使い、すぐにサービングが緩んだとしたら、見直すべきはサービングの技術とサービングの選択であり、同じサービング、同じテンションで逆に巻いて、解決しようとするなら、「サービングが緩む」という問題には対処できるかもしれませんが、「アーチェリーの上達」というゴールからは遠ざかっています。


という話をここまで書いてきましたが、思い出せば、昔自分も左用の弦は逆に巻いていたかもしれません。。。。。心当たりありますね…すみません。
プロショップに左利きのお客様が来店され、注文を受けて、その場でもくもくと作業しているとき、「お客様は左利きですから、サービングは普通の弦の逆で巻いたら、さらに緩みにくいですよ」という話し、これは、店員のおまじない・作業しながらも間を持たせるためのトーク、手作りであなただけのための一本を作っていると伝えるためのサービストークです。
文書・テキストで実証データを伴って、利き手に合わせた弦があるという話が存在せずに、口伝いでそのような都市伝説が流通しているのは、おそらく、自分も心当たりがあるようなリップサービスをプロショップ秘伝のノウハウだと勘違いしている人がいるからだと思います…ごめんなさい。
もし、サービングが緩んだら、見直すべきはサービングのテンションとサービングの種類ですし、プロショップでも、サービングが緩んだよと弦を持ち込まれたら、さっさとリップサービスは引き上げ、テンションや種類から原因を考えていきます。けっして、緩んだ原因を「サービングの向き」と決めつけて、ささっと直して終わりにするところはないと思います。
以上結論としては、ストックではなく、お客様の目の前で弦を作らなくてはならない時(15分くらいかかる)の間を持たせるためのありがちな小ネタが勘違いされて、秘伝のノウハウではいい弦は利き手に合わせるものだと転じてしまったのではないかと思います。
まぁ、おまじないの様な意味合いもありますので、気にされるようでしたら、向きをそろえてみるのもいいかもしれません。ただ、少なくとも、プロの間で議論されるような技術的なトピックではありません。


最大手の競技用弦メーカー FLEX アーチェリー 訪問 その2

前回の記事の続きです。


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次に、弦ではなく、ダンパーやアロープラーを製造しているFLEX ARCHERYの方に移動です。こちらが商品のテストルームです。後ろの角紙の向かって4000コマ/秒のハイスピードカメラを設置して、動画を撮りながら、3枚目のシューティングレンジで開発された商品の研究などをしています。
ここまでが、研究施設と倉庫になります。次に、工場に移動です。工場は大型の機械などが稼働していて、騒音もあるので、オフィス・研究棟とは離れています。
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こちらもなかなかのどかな場所に位置しています。ここサンタンデールはスペインの中でも、日本でいう軽井沢的な位置で、夏にマドリッドが35度になっても、こっちは25度くらいで涼しい避暑地です。エンジニアのグレゴリオさんは地元出身、社長のマリアさんはアフリカ生まれで、3歳の時に移住してきたそうです。
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近くの海はかなり荒れていましたが…よく見たら、サーファーがたくさん…すげぇー根性してるな。。。
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工場の中に入ると…あまり写真を撮れませんが、この方が現在アロープラーの中でもかなり強いグリップ力を持つフレックスプラー2.0を作り続けて○○年のアントニオさんです。金型に部品を入れて樹脂を注入して作るというやり方で、見ている大体1分で3個というペースでひたすらフレックスプラーを作っています。ミスター・アントニオの作ったアロープラーはこちらで★…残り在庫少なくてすみません。間もなく入荷します。。。。
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こんな感じで、作っています。ちなみに工場をあまり知らない方向けに解説しますと、先端企業のハイテク工場は違いますが、一般的にアーチェリーメーカーの工場というのは、今日はハンドルの赤を作る日、明日はスタビライザーのオレンジを作る日、明後日はリムのMサイズを作る日というように、スケジュールを決めて、その間は同じものしか作りません。
なので、オーダーが入った順に作っていくレストラン等とは違い、早くしたオーダーした方が早く作ってもらえるとは限りません。なかなか、納期の見積もりは難しいです。
スペインでは日が昇るのが遅く、FLEXは9時半から業務を開始し、11時半からたっぷり2時間もの昼休み。いわく、「私たちは機械ではないからね~」との事。そのかわり終業は遅く、夕飯は9時から、就寝は1時~3時が一般的のようです。町でもほとんどのレストランは8時半~9時オープンです。
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(ショッピングサイトより引用)
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以前の記事で紹介したFLEXの新しいチューニングできるダンパーの試作品たちが向上の隅に置かれていました。これから生産が始まるそうです。きっと、良いものをアントニオを作ってくれます。このダンパーの名前は「モンテラ(Montera)」です。スペインの闘牛士の帽子をイメージしています。
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暖かく迎えてくださったFLEXのマリアさんとグレゴリオさんに感謝します。今回の訪問で得た技術的示唆は、またいつかの記事で書こうと思っています。
エンジニアのグレゴリオの話の中で最も興味深かったのは、人材採用の話で、この業界での競争力は「素材」しかないとおっしゃっていました。
最初の話に戻せば、「メーカーズ」という運動の中で、だれでもモノを作ることができる時代はすぐにでもやってきます。しかし、今でも2Dのプリンタで簡単に印刷物を製造できますが、良いものを作るときには、やはり印刷屋・印刷のプロに相談しています。何を相談するかというと、素材です(インクは何を使うべきか、紙はどの種類の何グラムのものを使えばいいか)。
アーチェリーの世界でも、500~1,000ロッド単位で、OEMで何でも作れる時代が来ているし、最初の記事で紹介したように、Specialtyからは30~40万円で構築できる弦を作るマシンが発表されました。この時に、FLEXのような専業メーカーの強さは何といっても、素材を吟味する力、素材に対する知識なのだと思います。
原糸に関していえば、同じ原糸でもスプール間でこれほどの違いがあったというのは、知りませんでした。原糸は何種類もありますが、基本的にメーカー(例えば、BCYに材料を収めているメーカーDSM)が作っている原材料は1種類だけです。それをBCYのような繊維メーカーが機械で編んだり・加工したりして、いろんな種類の原糸が製造されます。その時に誤差が生じます。
特に多くの原糸は色付けにワックスを使用しています。このワックスが曲者で、色によって重さが違います。例えば、白と青で、商品はすべて1ポンド=いくらという風に納品されます。弊社でもホームユースように、より小さな1/4ポンドで販売していますが、”色もの”はワックスの分重くなっているので、1ポンドから作ることができる弦の量が、白と青ではだいぶ違います…逆にFLEXでは重さではなく、弦1本いくらで売っているので…白の弦を買ってくれると、うれしいようです。
また、世界中の各国と取引する中での各国のスクール(国の嗜好)については、簡単に書くと同じFF+なら、韓国は44~46ポンドを引くのが当たり前の世界ですから、主に販売しているのは、18-20本弦。このレベルの弦になると、かなり矢速が落ちますが、元々ポンドがあるので、何よりも、弦が安定する事を重視して、韓国のアーチャーは弦を選びます。
次に、イタリアのアーチャーは矢速をとにかく重視するようで、注文するときに一番気にするのは、弦の重さ。負担の少ない軽い弦が最上の弦として扱われるので、イタリア向けには軽い弦を開発して販売しているそうです。
同じような方向ですが、フランスでは細い弦が好まれ、よくFLEXには10本弦という注文が来るそうです。ダイニーマでも12~20までは試したことがありますが…10本弦というのはさすがに…現在の原糸のレベルであれば、10本弦でも破損すことはないのですが、ノックがフィットしないので、サービングを0.24などで巻く必要があり、その分弦は重くなります。
結果的にはそれほど矢速は向上しないのですが、とにかく太い弦というのはフランス人の好みに合わないそうです。理由を聞くのは野暮です。フランスは競技アーチャーの10倍も20倍も趣味のアーチャーがいる国なので、いちいち技術的な裏付けをインタビューしていたら、たぶん嫌われるか…細かい野郎だなと思われてしまいます。
ちなみに、日本で弊社で販売しているのは14~18本弦。10~12のフランスよりは太く、18-20の韓国よりは細く、FLEXいわく、メーカーのマニュアルに従ったよい選択とのこと。
こういった話はさすがだと思います。例えば、矢速の評価や弓の性能評価はある程度知識と熱意があれば、できますが、スプール間の違いを評価、国によるスクールの違い、彼らが持つノウハウは最大のメーカーとして月に100ポンド以上の素材を扱ってこそ分かるものです。ものすごく勉強になりました。
Nimes 2013の記事を見ていただいてもわかり通り、製造を中国に丸投げして、オフィスだけをヨーロッパに構えるメーカーも増えてきました。自ら製造しない”メーカー”について、別に批判するつもりはないし、Decutなどは販売を考えていますが、そのような商売で、自社に素材についてのノウハウ蓄積していくのか、その部分で競争力を持てるのかが、成長していくところと、消えるところとの違いでしょうか。
だれでも、モノ作りができるようになった時代では…どう作るのかではなく、何を使って作るのかが重要になっていくように思います。その点において、弦とプラスチック・ゴムの素材をきっちりと吟味する力を持つFLEXの競争力は当分続いていくと思います。そういえば、昨年訪問し、ヨーロッパで急激に成長しているUUKHAもエンジニアはコンポジット素材のプロですね。
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今後、新規メーカーやメーカーとの交渉の中で、素材についての聞き取りをもっと重視しようかと思いつつ…明日の朝一の仕事は…匂いを嗅ぐこと…です。FLEXから匂い付きのサービングのサンプルを頂きました。匂いを保つため、使用前はパッキングされており、開封後は密封パックにいれるか、Beiterのワインダーが入っているようなケースに入れておけば、2~3か月は香りが続きます。
今までいろんな商品を発注してきましたが、匂いを嗅いで発注するというのは初めての経験というか…市場の傾向とかわからないよ…どうしましょう。。


最大手の競技用弦メーカー FLEX アーチェリー 訪問 その1


前回の記事の続きです。


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スペイン・サンタンデールのMMBC ARCHERYを訪問してきました。MMBCは会社名で、傘下に世界最大の弦ブランド”STRING FLEX”と、新素材を採用する事を得意とするFLEX ARCHERYがあります。以降統一して、FLEXと書きます。
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以前訪問したフランスのUUKHA同様、のどかな港町に位置しています。
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入口はアロープラーで飾り付けられています。このアロープラーは特製のもので、製造するアロープラーの素材の色を変えるときに、前の色の素材と新しく入れた色の素材が混ざった出荷できない製品を再利用しているそうです。
入口のスペース。アーチェリー製品の製造を開始したのは、20年ほど前ですが、その前はアーチェリーのプロショップを営業しており、完全に製造業に転向したのは3年前。その時の名残のショップスペースだそうです。
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会社のトロフィールーム。写真中央は社長のマリアさん。スペインチャンピオンだった時のメダルです。1970~80年代にスペインでトップにいた名選手です。英語がしゃべれないのであまり交流ができませんでした…写真下が通訳・技術者のグレゴリオさんです。持っているのは、アメリカの長期研修で取得したUSA ARCHERYのレベル4のコーチング資格です。外国人(連盟に所属していない人)が取得できる最上位のコーチング資格だそうです。
社長のマリアさん、エンジニアのグレゴリオさんともにアーチェリー歴40年近くで、1970年代~80年代にスペインのトップとして活躍し、80年代~90年代にプロショップ兼協会役員(大きな試合のプロデュースなど)として活躍し、90年後半から、アーチェリー用品の製造に転向し、大きく成長した来たので、最近では製造業に専念し、プロショップも閉じてしまいました。ちなみに、スペインには20店舗ほどのプロショップがあるそうです。
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弊社でも立ち上げ中なので、参考にするためにテストルームを見学しました。写真は使用している設備の数々で、上は4000コマ/秒のハイスピードカメラ、下は最近、原糸の評価精度を上げるために導入した0.001mm(1µm)単位で太さを測定できるセンサ。


こちらは原糸テストです。テストに使用しているのはAstra/8190/8125g/FF+/ダクロンです。テスト結果をどう評価するか(つまりどの原糸が優れているか)、その話は中核的なノウハウなので今回は書きません。
上の動画でどのように原糸を評価しているかわかると思います。テストを行っていない弦は品質が安定しません。同じBCYの素材を使った弦でも、完成度に違いが出るのは、入荷した素材をそのまま使うか、どこまでチェックしてから使うかの差です。
まず、メーカー(BCYやブローネル)から、原糸が1ポンドごとのスプールと呼ばれる単位で入荷してきます。ちなみに、FLEXでは、月に100~200ポンドの原材料を使用しています。単純計算で月に10,000~20,000本は弦を製造しています。
入荷したすべてのスプールは、250kgの力でストレッチされ、原糸の状態を確認します。それぞれのスプールごとに、出来の良いものと悪いものがあり、悪いものをはじきます。残ったスプールは、許容範囲内にある誤差をバーコードで管理し、製造時に誤差を機械で補正します。
動画の2番目の映像では、弦をストレッチし、その後の変化を見ています。伸ばした時の変位があっても、弦を製造するときに伸ばせばいいだけなので問題ありません。問題はいったんテンションをかけて伸ばしても、元に戻すと縮もうとするものです。この場合、競技で使用するときも250kg(550ポンド)ほどの力はかからないものの、発射時に弦は伸ばされ、逆に矢取り時に弦が縮み、元に戻ったりして、ハイトが安定してくれません。
長さが安定しない弦は競技では使用すべきではありません。動画を見ていただくとわかると思いますが、ストレッチを止めて戻すと、上に動く弦が存在するかと思います。これは弦が元に戻ろうと縮んでいるからです。このような弦はハイトが安定せず、競技では使用できません。また、FLEXでは上位モデルは出荷時にストレッチをかけて、弦の状態を安定させていますが、この処理を行ってもこの弦は安定しません。
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その代表格はダクロンです。ダクロン弦は全く長さが安定しない弦で、マリアさんも1970年の初めにダクロンで1250点をうったことを誇りにするくらいです。。。
この場合、FLEXでは製造後、写真のような状態で2日間”熟成”させます。それによって、弦の状態が安定し、その状態で初めて、長さを測定してパッキングすることで、誤差を押さえています。
続く。