この記事は2012年12月26日に書かれたものです。1年以上前の記事は内容が書かれた当時とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

2013年モデルのGP F7リムと2012年の990TXリムの比較

DSC00498.jpg
先週の終わりにHOYT2013年モデルの大量入荷がありました。GP Carbon720リムだけ、まだ入荷が安定していませんが、それ以外はほぼ在庫がそろって来ました。
2013年モデルのGP F7リムと2012年の990TXリムについて比べてみました。

DSC00501.jpg

まず、最近どこのメーカーでも同じ傾向にありますが、チップが小さくなりました。写真の左がGP F7で、右が990TXです。リムチップのところが破損することは昔にはありましたが、最近はこの部分でトラブルが起こることはほぼないので、各社、できるだけ小さくする方向になっています。
DSC00499.jpg

次に、横からリムのカーブを確認しましたが、少し程度の修正なはずなのに比較ができません。よく見るとリムの設計が全く違っています。
100FX.jpg

上に2013年、下に2012年のHOYTのリムの取り扱い説明書を並べてみました。少し見づらいかもしれませんが、変更点は、Formula形式ではなく、今年からグランプリと名付けられたタイプの既存のHDS方式の弦の長さが、例えば、66インチでは160cmだったものが、161cmに変更されています。弦の長さが長くなっていますが、HPXと違ってハイトの値は同じです。つもり、その分弓が長くなっています。
HPXからHOYTは(張られた状態の)弓の長さを長くしましたが、2012年はFormulaタイプの一部だけでした。それが、2013ム年にはすべてのタイプの弓で、弓の長さを長くしてきています。GMXなどのグランプリタイプの弓は“1cm”長くなります。
DSC00502.jpg

ただ、これはハンドルの設計を変えるのではなく、リムの設計を変えることで実現しています。そのために、2013年のGMXを使用していても、2012年の990TXを使えば弓は長くなりませんが、逆に2009年のネクサスでも、2013年のGP F7リムを付ければ弓は長くなります。GP 720リムでも同じですが、入荷分全品出荷してしまい写真手元にないです…後ほど。。
上の写真の通り、リムの全長は長くなっていませんが、弦がかかる部分が上に0.8mm程度チップ側に寄り、また、弦溝の場所のチップ寄りに移動しています。
DSC00505.jpg

ということで、その分リムを移動させて、再度リムのカーブを比較してみました。今度は、うまく比較できたかと思います。カーブはほぼ同じです。リムチップ部分が若干ゆるくなっていて、逆に990TXは緩やかにチップに向かって曲がっていくのに対して、GP F7リムはチップ直前で一気に曲がっています。経験上では990TXの方が全体では柔らかく、逆にGP F7の方がクリッカーゾーンでは柔らかくなるかと思いますが、正確なデータは1月にFX曲線にして比較する予定です。年内はちょっと時間が厳しいです…すみません。
最後にリムの重さですが、990TXとGP F7で長さ以外で飛躍的に変わったところはあまりないので(カーボンシートが変わったくらい)、重さは下記の通りです。
2012 HOYT 990TX M38 415g(207-208)
2013 HOYT GP F7 M38 406g(202-204)

(参考値)
2012 HOYT CARBON 550 M38 442g(220-222)
2009 WIN&WIN INNO POWER M38 370g(184-186)
2010 WIN&WIN INNO EX POWER M38 346g(172-174)
今回9gの軽量化で順調に改善されたニューモデルという印象です。2010年に入荷したときにテストしてその性能にびっくりしたINNO EX POWERリムと、その先代のINNO POWERリムとデータを引っ張り出してきましたが、両方で20g近くも軽量化が進めば、驚くほど違うリムになりますし、ものすごい進歩です。
ただ、9g程度の前進ですと、革新的とは言えないと思います。順調な改良ということでしょうか。もう一歩、あと一代変われば、”20gの変化”になるので、現在990TXをすでに使われている方が買い替えても、革新的な進歩は感じにくいかもしれません。もちろん、プロショップとしては買ってくれればうれしいですし、弓の長さという弓の基本的な設計ポイントが変わっていますので、違いは実感できると思います。
また、550と比べると約40gとウェイト1.5個分も違い、矢飛びだけではなく、持った軽さでも実感できるくらい違うので、990TX以外のHOYTのリムからの買い替えであれば、いいことがあるのではないかと思います。ちなみに、GP F7リムもINNOハンドルの標準モジュールでは装着できません。幅の広いのBモジュールに交換する必要がありますのでご注意ください。
WIN&WINやUUKHAは独自の設計を追及する中でリムを短くする方向に行き、HOYTはリムを長くする方向に設計を変更したのは興味深い違いだと思います。ただ、ATAの標準は66インチだと160cmのはずなのですけど…UUKHAは158cm、WIN&WINは158cmか159cm、HOYTはリムが2012年以前のモデルなら160cm、2013以降のモデルなら161cmということになりそうです。2013年のHOYTリムを購入するときには、弦の長さにもご注意ください。
もっと弦の在庫を増やさないと…ですね。。。


The following two tabs change content below.
Ryo

Ryo

山口諒 - JPアーチェリー代表。担当業務はアーチェリー用品の仕入れ。リカーブ競技歴13年、2014年コンパウンドに転向、現在はベアボウにも挑戦中。リカーブ・コンパウンド両方で全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は2位(準優勝)。

13 thoughts on “2013年モデルのGP F7リムと2012年の990TXリムの比較

  1. SECRET: 0
    PASS: c543b84aa0508c004992afb649837456
    F7のウリは三軸編みのカーボンシートらしいので、重量よりも、ねじれ剛性の変化が知りたいところです。
    矢速アップはハンドルのリフレックス化で実現し、リムの方は安定性を上げる方向での改良を行って、トータルで全体の性能を上げる、という戦略ではないかと思いますので。

  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    質問です。本文中にある
    「GP F7リムもINNOハンドルの標準モジュールでは装着できません。幅の広いのBモジュールに交換する必要がありますのでご注意ください。」
    と有りますが、「標準モジュール」「Bモジュール」とは何でしょうか?

  3. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >F7のウリは三軸編みのカーボンシートらしいので、重量よりも、ねじれ剛性の変化が知りたいところです。
    三軸編みというのは軽量化対策です。
    当店ではねじれに対する強さでF7を宣伝したことはないと思います。対F4ではF7は矢速が売りです。捩れ剛性に対してのクレームは対応したのは、F7ではなく、990TX(F4)です。対900CXで大幅にねじれに対して強くなっています。
    少し誤解があるようですが、三軸編みというのはリムを軽くする技術です。単一方向のUDカーボンを3方向に使用すれば、より安く同一の性能を得ることができます。組み合わせ方によってはUDカーボンの方がよりねじれに対して強いです。
    ただ、UDカーボンではカーボンシートは3枚必要ですが、Triaxial Carbonはそれを1枚のカーボンシートで実現するもので、そのメリットは軽さ(と効率性;層が減ることで内部摩擦が減り、矢速が向上する)です。
    > 矢速アップはハンドルのリフレックス化で実現し、リムの方は安定性を上げる方向での改良を行って、トータルで全体の性能を上げる、という戦略ではないかと思いますので。
    Formulaではそのようにしています。INNO MAXは現物はまだ入荷していませんが、写真で見る限りではWIN&WINもその方向に行くかもしれません。
    ただ、既存のグランプリと命名されたGMXに設計の変更はありません。ハンドルは既存のままで、リムだけを長くしてきました。今年一年は様子を見て、2014年モデルでグランブリ・シリーズにも、リフレックスハンドルを出してくる可能性が高いのかなと思っています。
    > F7のウリは三軸編みのカーボンシートらしいので、重量よりも、ねじれ剛性の変化が知りたいところです。
    >
    > 矢速アップはハンドルのリフレックス化で実現し、リムの方は安定性を上げる方向での改良を行って、トータルで全体の性能を上げる、という戦略ではないかと思いますので。

  4. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    通常のINNO CXTとAL1には、HOYTとSAMICKのリムや、WIN&WIN/SFではないレンタルリムを取り付けることができません。
    ただ、どうしてもルーキーリムやサミックのリムや、今回のGP F7リムを使用したいお客様のために、幅を広げたモジュール(リムのTスロットを入れる部分・センター調整の時に左右に動く部分)が存在します。「サミック用のモジュール」とか「HOYT用のモジュール」とか言ってますが、勝手に弊社ではBモジュールと呼んでいます。
    現在のハンドルにSAMICKやHOYTのリムが入らないなら、通常のモジュールです。Bモジュールにしたい場合には、3,000円程度の費用が掛かります。ご購入店に問い合わせください。
    > 質問です。本文中にある
    > 「GP F7リムもINNOハンドルの標準モジュールでは装着できません。幅の広いのBモジュールに交換する必要がありますのでご注意ください。」
    > と有りますが、「標準モジュール」「Bモジュール」とは何でしょうか?

  5. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    追記です。
    より詳細なことについては、今年3月のこの記事が参考になるかと思います。
    http://jparchery.blog62.fc2.com/blog-entry-991.html
    > 質問です。本文中にある
    > 「GP F7リムもINNOハンドルの標準モジュールでは装着できません。幅の広いのBモジュールに交換する必要がありますのでご注意ください。」
    > と有りますが、「標準モジュール」「Bモジュール」とは何でしょうか?

  6. SECRET: 0
    PASS: c543b84aa0508c004992afb649837456
    若干軽量化されただけで、ねじれ剛性は「全く」変わっていないということでしょうか?
    三軸編みカーボンシートはねじれ剛性の高い素材である、としても、
    従来と同じ剛性を確保すると、あまり軽くすることが出来ないものなのか、
    軽量化を犠牲にしてでもあえて厚めにして、その分剛性アップも実現しているのか、
    が知りたいと思います。
    ラボの方でも良いので、宜しくお願いします。

  7. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 若干軽量化されただけで、ねじれ剛性は「全く」変わっていないということでしょうか?
    まず、使用に伴うねじれについてですが、GP F7リムは発売されたばかりなのでわかりません。ただ、1年以上販売しているFormula F7リムがベースになっており、Formula F7と990TXで比べ減ると、ねじれやすさ(ねじれて交換になるリムの数)は当店では同じくらいです。なので、GP F7は990TXと同じくらいだと推定しています、断定はできません。
    今回入荷は初期ロッドですし、矢速や重さ、カーブのデザインは見れば、測定してみればわかりますが、ねじれはいろいろな環境でお客様が使用してみて、半年程度販売してみないと何とも言えないです。ただ、Formula F7リムと同じなので、心配はしていません。
    > 従来と同じ剛性を確保すると、あまり軽くすることが出来ないものなのか、
    > 軽量化を犠牲にしてでもあえて厚めにして、その分剛性アップも実現しているのか、
    お客様の質問について、リムではなく、素材にこだわりすぎているように感じます。ラミネートリムは何層かのシートを接着して作製しますが、それぞれのシートを単体として切り出して、層ごとの性能を比較することは意味があるとは思いません。料理と一緒でメーカーやお店が宣伝をするときは、個々の素材を大きく言ってお客様を呼び込みますが、結局大事なのは、組み合わせた時の全体のバランスです。
    お客様の方でポリマーカーボンシート(990TX)と三軸編みカーボンシート(GP F7)の特性の違いと、設計時の注意点について知りたいのでしたら、正直自分にはわからないですし、HOYTに聞いても宣伝文句以上の回答はないと思います。
    ここでの「同じ剛性」がカーボンシートではなく、リムを指すものとして書きます。。
    > 従来と同じ剛性を確保すると、あまり軽くすることが出来ないものなのか、
    プロショップの説明不足もあると思いますが、
    最上位のリムというのは、最も良質なものではなく、
    もっとも挑戦的な技術を使用しているリムです。
    なので、設計や製造が問題で発生する破損やトラブルの多く最上位のリムで起こります。
    より軽くしながらも、剛性を保つ努力はどのメーカーも行っていますが、
    剛性が足りないか、軽くしすぎたかで、作ったリムが破損することはよくあります。
    お客様もご覧になったことはあるかと思いますが、破損の半分以上は最上位のリムで起こります。
    お客様の上記の質問はまさにメーカーがチャレンジしていることです。
    その答えが毎年のモデルになって登場し、
    その答えに対して、私たちプロショップの人間が…ケチをつけたりします…じゃ、お前が作ってみろよと言われても作れませんが。。。
    この質問に関しての答えは、
    剛性の向上と矢速の向上の両方に成功するいいリムが発売されて、リムの技術が一気に前進する年もあれば、
    技術が停滞して、面白いものが出ない年もあるということでしょうか。
    > 軽量化を犠牲にしてでもあえて厚めにして、その分剛性アップも実現しているのか、
    リムの厚みは何かを表現してはいません。より厚いリムが薄いリムよりも軽いこともあります。
    厚さの割に軽いのがHOYTで、薄さの割に重いのがUUKHAです。
    ここでの質問が軽量化を犠牲にして、重くても剛性を追及するのは、
    コンパウンドのリムでよくあることです。
    リカーブに関していえば、そのようなリムに対するニーズがあれば作ると思いますが、
    話をしている限りでは、技術として(設計部が)作らないのではなく、
    需要がないので(マーケティング部が)作らない状態だと思います。
    こんな感じの回答でよいでしょうか?
    > 若干軽量化されただけで、ねじれ剛性は「全く」変わっていないということでしょうか?
    >
    > 三軸編みカーボンシートはねじれ剛性の高い素材である、としても、
    > 従来と同じ剛性を確保すると、あまり軽くすることが出来ないものなのか、
    > 軽量化を犠牲にしてでもあえて厚めにして、その分剛性アップも実現しているのか、
    > が知りたいと思います。
    >
    > ラボの方でも良いので、宜しくお願いします。

  8. SECRET: 0
    PASS: c543b84aa0508c004992afb649837456
    いろいろと説明していただき有り難うございます。
    素材にこだわりすぎている、のではなく、今回のレビューでは重量と形状の情報しか分からなかったものですから、質問させて頂きました。
    山口さんも重要だと仰っている、肝心の「全体のバランスはどうなのか?」が知りたいところですので、1月に予定されていらっしゃる、使用テストの結果を待つことにします。

  9. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    2013のモデルから弦の長さが変わりますが今後StringFlexの8190完成弦で161cmの弦がラインナップに加わるということはありますか?

  10. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    発注済みです。1月末か2月の初めの入荷を予定しています。
    > 2013のモデルから弦の長さが変わりますが今後StringFlexの8190完成弦で161cmの弦がラインナップに加わるということはありますか?

  11. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    質問です。
    GP720リムの重さを教えてください。

  12. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    現在、比較用のサイズのリム(M38とM40)がまだ入荷していないです。
    申し訳ございません。
    > 質問です。
    >
    > GP720リムの重さを教えてください。

  13. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    本社に入荷しました。金曜日か土曜日には回答できるかと思います。
    > 質問です。
    >
    > GP720リムの重さを教えてください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。