この記事は2012年11月10日に書かれたものです。1年以上前の記事は内容が書かれた当時とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

HOYT Formula ION-XはHPXと比べ振動が約30%減

今週の頭にHOYT Formula ION-Xが入荷しましたが、試験環境の構築に時間かかりました。遅くなり申し訳ございません。

DSC00447.jpg

まず、設計から。左側はHOYTのHPXハンドルです。グリップの位置はHPXと同じリフレックスデザインです。表示よりも1ポンド強くポンドが出るので、リムを選択される時は気を付けてください。また、カタログ値ではHPXハンドルとION-Xハンドルは同じ重さです。テックのブリッジがある分重くなっていないのは、グリップ側のライザーを薄く・細くしているためです。
DSC00448.jpgDSC00451.jpg

上の写真はリムポケットの位置を同じにして撮ったものです。グリップ側のライザーが細くなっているので、センターブッシングの位置が入り込んでいます。約1インチほど中に入っていますので、同じ長さのセンターを使っても、HPXに比べ、1インチスタビライザーが短くなります。もともと、飛び出しが悪いテックハンドルですので、飛び出しを気にされる方であれば、移行時にエクステンダーを1インチ長いものにした方がいいかもしれません。
上の写真の下の方はグリップ側のライザーです。左側のHPXに比べ、右側のION-Xは薄くなっているのがわかるかと思います。
DSC00449.jpg

これは後ろから見た時のブリッジですが、以前のエアロテックなどに比べると、かなりブリッジが右側まで来ています。昔のデザインでは窮屈と感じていた人が多かったので、その意見への対応かと思います。特にブリッジがグリップの部分のだいぶ下まで来ているので、フォロースルーの時に腕に当たることはかなり軽減されています。
このテックハンドルの欠点は、上記の通り、窮屈だったり、フォロースルーで腕に当たったり、飛び出しが悪いことですが、なんといっても、テックのブリッジによって、振動が大きく軽減されます。そこで、新しく導入した振動吸収能力を測定するセンサーで、効果を測定しました。
具体的な条件は最後に書いてあります。興味ある方は参照してください。詳しい説明は省きます。
DSC00455.jpg

今回、単純にハンドルのみの比較なので、センサーは両面テープでハンドルのここの部分に取り付けました。なので、振動が減った増えたというのは、この部分のことです。この部分はハンドルの中でも最もヒビが入りやすてところです。厳密にいえば、クリッカープレートの下の縁の裏あたり(写真の位置からプランジャーホール側に横に2cm位スライドさせたあたり)ですが、そこにはセンサーが取り付けられなかったのでここにしました。
ピックアップを両面テープで取り付けた時の設置共振のグラフは下に載せましたが、厳密な正しい値の取得ではなく、相対値でAとBを比較することが目的なので、設置共振は考慮していません。
DSC00458.jpg

ちなみに、振動を調べるための装置はこんな感じ。ハンドルに取り付けたセンサが振動を電圧に変換し、X軸の振動・Y軸の振動・Z軸の振動の3つの数字を電圧で、真ん中の機械に送信します。真ん中の機械はアンプで、その値を大きく増幅して、一番右の機械に送信し、一番右の機械が電圧(ex 1.1242V)をパソコンが理解できるデータ(ex 01100010011)に変換して、パソコンに送信し、パソコンの専用ソフトがそれを受信します。こんな仕組みです。
DSC00457.jpg

こんな感じでシューティングマシンにおいて計測しました。それぞれのハンドルで、ハンドルに何もつけないベアの場合と、センター(HMC+ 28インチ V-ZEROダンパーにウェイト3つ装着)を付けた場合とで測定しました。HPXのベアハンドルでの振動を100にした場合のION-Xハンドルの振動は下記の通りです。
HPX ベア    振動指数 100 / 振動時間 100(291ms)
HPX スタビ有  振動指数 67 / 振動時間 75(219ms)
ION-X ベア   振動指数 63 / 振動時間 97(284ms)
ION-X スタビ有  振動指数 49 / 振動時間 72(209ms)

***提供する測定データの商用目的での使用は許可していません。また、引用する場合は、測定条件も必ず含めてください。
まず、なぜベアとスタビライザーありの2パターンで測定したかといえば、データで10%減と示したとしても、お客様にはその実感が伝わらないのではないかと思います。なので、多くの方はスタビライザーを使用していると思いますので、そのスタビライザーを外して一度シューティングしてみてください(安全を考慮すると近射がいいと思います)。
スタビライザーなしで射って、その後、スタビライザーを再度付けた時の振動が約30%減の状態です。厳密ではありませんが、それで30%振動が減るとはどういう状態か大体伝わるかと思います。ぜひ、試してみてください(アルミ・カーボンハンドルの場合です。ウッド・プラスチックハンドルの場合は…データ持っていません)。
さて、データの解説に戻ると、HPXとION-Xとでは、振動時間に大きな差はありません。テックがついても、振動時間は3%ほどの違いです(これは個人的には意外でした)。逆に、テックがついたことによって、振動そのものは大きく変化しています。HPXでスタビライザーを付けた時の振動とION-Xのベアでの振動が大体同じくらいです。これは間違いなく、実感できるほどの違いになります。
ですので、ION-Xは飛び出しが悪くなるものの、テックによって剛性が向上し、大きな振動が発生するベアの状態で37%、振動をスタビライザーも一緒に吸収してくれる状態で27%振動が減少することが言えます。
ですので、ベアボウの方にはかなりおすすめのハンドルと言えますし、飛び出しよりも、ハンドルの振動を気になさる方にもおすすめのハンドルです。販売中で、HPXとは1,000円違いの59,800円です。
*F7リムM38ポンドを実質41ポンドにして使用。リリーサーリリース。ATA28インチ引き。ハイトは8-1/4・ティラー差1/8。使用シャフトはACEで重さは312.2gr。データサンプリングは1ms間隔にて、ノイズの平均を1とした場合、センサーの測定値が10以上になった時間を開始時間とし、10以下になった時間を終了時間としました。その時間内に測定した3軸の値を合成し、その合成加速度を振動期間で合算した値をハンドルの振動としました。加工前のデータは下記のリンクでダウンロードできます。その他のポイントは「環境振動・固体音の測定技術マニュアル」にしたがって実験しました。

センターが取得している元のデータ(CSVファイル)
http://archerreports.org/test_data/Test_Data_20121110.csv

**両面テープの設置共振は③のグラフを参照してください。
IMG_20121110_214330.jpg


The following two tabs change content below.
Ryo

Ryo

山口諒 - JPアーチェリー代表。担当業務はアーチェリー用品の仕入れ。リカーブ競技歴13年、2014年コンパウンドに転向、2018年よりベアボウに挑戦中。リカーブ・コンパウンド両方で全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は2位(準優勝)。

11 thoughts on “HOYT Formula ION-XはHPXと比べ振動が約30%減

  1. SECRET: 0
    PASS: 374fff6f35a11b69b57e947e7765fbca
    お世話になっています。
    ION-X、ベアアーチャーにお勧めかも・・・との事ですが、
    テックの部分は12.2cmのリングを通過しますか?
    またセンターブッシングの部分もデカい重りを付けると難しいのでは?
    一度、ご確認をお願いします!

  2. SECRET: 0
    PASS: 374fff6f35a11b69b57e947e7765fbca
    お世話になっています。
    ベアボウの方にはお勧めのハンドルとの記述がありますが、
    テック部分は12.2cmのリングを通りますか?
    またセンターブッシングの部分も、リングを考慮するとあまり大きなウエイトは付けられないような気がします。
    一度ご確認お願いできませんか?

  3. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    すばらしい測定器をお持ちですね。数値で示されると説得力が違います。
    IONには最初からひとつスタビライザーが付いてるということですかね。
    ライザーに空いた穴は軽量化の他に(空いてないものよりは)多少の振動吸収に寄与していると考えられますか?

  4. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    12.2cmのリンク手元にないので、確認に少し時間を頂戴します。申し訳ございません。
    > お世話になっています。
    >
    > ION-X、ベアアーチャーにお勧めかも・・・との事ですが、
    > テックの部分は12.2cmのリングを通過しますか?
    >
    > またセンターブッシングの部分もデカい重りを付けると難しいのでは?
    >
    > 一度、ご確認をお願いします!

  5. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    スタビライザーは別売りです。また、HOYT社はスタビライザーを作っていませんので(ライセンス販売のみ)、今回はWIN&WIN社のHMC+という一般的なものを使用しました。
    > ライザーに空いた穴は軽量化の他に(空いてないものよりは)多少の振動吸収に寄与していると考えられますか?
    軽量化のほか、穴のパターンによって、ハンドルの特定の箇所にすべての振動が集中しないよう、全体にばらける様にしています。どの穴がどれに相当するかは、専用の設計ソフトでシミュレーションしないとわからないので、(少なくとも自分には)見ただけではわからないです。
    > すばらしい測定器をお持ちですね。数値で示されると説得力が違います。
    > IONには最初からひとつスタビライザーが付いてるということですかね。
    > ライザーに空いた穴は軽量化の他に(空いてないものよりは)多少の振動吸収に寄与していると考えられますか?

  6. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    公式のものの入手には時間がかかりそうなので、簡易のもので代用しました。
    確認したところ、ウェイトに関しては、通常のスタビライザーウェイトであれば3cm程度まで、リムセーバーほどの直径があるものは2cm程度までであれば、使用できます。
    > 12.2cmのリンク手元にないので、確認に少し時間を頂戴します。申し訳ございません。
    >
    > > お世話になっています。
    > >
    > > ION-X、ベアアーチャーにお勧めかも・・・との事ですが、
    > > テックの部分は12.2cmのリングを通過しますか?
    > >
    > > またセンターブッシングの部分もデカい重りを付けると難しいのでは?
    > >
    > > 一度、ご確認をお願いします!

  7. SECRET: 0
    PASS: 374fff6f35a11b69b57e947e7765fbca
    ご確認ありがとうございます!
    > 通常のスタビライザーウェイトであれば3cm程度まで、リムセーバーほどの直径があるものは2cm程度までであれば、使用できます。
    ちょっとハンドルウエイトは工夫する必要がありそうですね!?
    テック部分は問題なく通過するようなので一安心です。

  8. ION-Xハンドルはリフレックスしていますが、リフレックスのメリットは何ですか、教えてください。

  9. 一番のメリットはドローレングスが伸びる(パワーストロークが伸びる)ことによる矢速の向上です。

  10. 返信ありがとうございます!
    重ねて質問して申し訳ないんですがデメリットはありますでしょうか。

  11. >重ねて質問して申し訳ないんですがデメリットはありますでしょうか。

    デメリットはハイトが低くなるので腕に弦が当たりやすくなる、プランジャーホールがグリップの真上に来ないので弓の安定性が低下するといったものがあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。