この記事は2011年10月26日に書かれたものです。1年以上前の記事は内容が書かれた当時とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

高騰するアメリカ製スタビライザーはリカーブ向きか

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ドインカーの2012年のラインも発表されました。特に新しいものはなく、剛性がもっとも高いとされているプラチナムHi-modはサイドとセンターだけだったのに加え、エクステンダーが加わった程度にです。
後はこんなちょっと変わった形の(ハンティング向けです)スタビライザーが追加されています。
アメリカ製のスタビライザーに関して、販売店として一生懸命頑張っているのですが、卸値が毎年上がっていきます。本日は円相場が75円を付けたそうですが、もし、ドル円レートが2年前の100円のままだったら、近年アメリカから発売されているスタビライザーは全て定価で3万円を超えます。
現在、アメリカで市場を3分しているのは、DoinkerとFUSEとB-stringerですが、Doinkerの2012年Hi-modは2万円を切るのがやっとの状態、FUSEのカーボンブレードのマイナーチェンジモデルはドル建てでは値上がりして2万円を切れるか微妙な所で、B-stingerの新作も若干の値上げです。いずれも仕入れ段階で1万円を大きく超えています。
アメリカではコンパウンドがメインですので、ロッドは2本(センターと片側サイド)が一般的です。これであれば、3万円を切る値段で提供できますが、Vバーを組めば、FUSEだと4万円を超えかねません。
日本にいると考えられないことですが、韓国やアメリカのメーカーの価格は毎年上がっていきます。2-4%程度です。Carterの2012年価格も若干値上げがされました。ドル円相場のおかげで吸収できますが、ドル建て価格の値上げで、値下げする余力はないです…。

なにがいいたいかと言うと、新しい素材を使用しているアメリカ製の高剛性のロッドが高騰しているという話なのですが、リカーブがメインのヨーロッパや韓国のメーカーが、その流れを追わないところを見ると、やはり、「高剛性」のロッドの時代が終わりを迎えているという感じがしています。
弦の世界でいえば、十分に耐久性がある原糸が無かった時代、アーチャー側には「もっと耐久性を、もっと伸びが少ないものを」という需要があり、メーカー・プロショップもひたすらその方向に商品を開発・販売してきましたが、十分に耐久性があり、まったく伸びない原糸が出てきた時点で、その声は聞かなくなりました。
リカーブでは伸びない弦が良いとされていた時代もありましたが、商品性能がニーズに追いついたことで、逆に「ちょっとは伸びる弦」がいいとされています。BCYで一番強い原糸はベクトランをブレンドした、452Xやトロフィーですが、これをリカーブで使用する選手はあまりないのが現状です。実質で50ポンドを超えて、X10の340番を使用しているアメリカのBrady選手でも、BCYの8125(22本弦)です。
対して、スタビライザーはちょうどその状況にあると感じています。自分がアーチェリーを始めた2001年には、とにかく剛性のあるロッドを探していました。CEX5やHMCやX10が無かった時代です。ただ、それらのロッドが発売され、さらに、ドインカーから一段上のプラチナムが発売されると、(個人的な感想ですが)高剛性というスペックは、既にアーチャーのニーズを超えたと思います。
お客様の方でも、考えは同じように変わってきていて、剛性が一番高いロッドを求める方が減り、イーストンでも軽いACEと高剛性のX10を販売していますが、販売量はACEの方が圧倒的に多いです。
かなり前にパンツの話を書きました。同じように、フィーリングと言う人間(アーチャー)のニーズに対して、原糸やロッドと言った人工的に合成・製造される商品は日々進化していきます。
そして、その人工物のスペックが、いつの日か、それがいつなのかは分かりませんが、必ず、人間のニーズを追い越す日が訪れ、開発の流れはひたすら、良い硬く、より軽く、より●●●と言った偏った方向性から、使用する人間に合わせた商品という方向に変わっていくのでしょう。
ここの何年かで、日本ではハスコさんが高剛性よりも、軽さに重点を置いたロッドを、アメリカではドインカーがリカーブ用にダンパーとのバランスを考えたAVANCEEを、韓国ではWIN&WINが剛性けではなく振動吸収のためにカーボン量を大幅に増やしたHMC Plusを開発し、いずれも、成功しています。
あちぇ屋でコンパウンドのショップをリカーブのショップを分けたのは…お客様から買い物しにくいというお叱りもございますが…今後、ますます、リカーブとコンパウンドでは開発の方向性が違ってくると考えている為です。混ぜて一つのショップにして、お客様がリカーブ用にコンパウンド用の商品を購入した場合には、わざとそれを「選択」したのであれば、良いと思いますが、あまりお客様の商品に対する満足度は良くならないという結果を迎えると思います。
とにかく剛性を高めたドインカーのプラチナムなどはリカーブのショップにはおいていませんし、B-stingerの商品もコンパウンドの方だにアップしています。自分が高校生だった時代には、リカーブ向けのロッドは剛性が足りないものが多かったので、ブラックマックス(廃番になりましたがイーストンのコンパウンド向けのアルミロッド)をリカーブに使用している選手はかなりの数いましたが、ここまで進歩が進むと、プラチナムのエクステンダーをリカーブ向けにお勧めいいのか迷います。少なくとも、センターやサイドにはオーバースペックと考えていますが、負荷が高いエクステンダーならありかなとも思います。入荷待ちます。

ハンドル・リムに関して。今年、HOYTは矢速で攻めて来ました。軽く返りの速いリムです。WIN&WINは・・・・長くのなるので、次の記事に書きます。。。。
軽いリムに速い矢速がアーチャーにもたらす利点は一定ではありません。引き尺とポンドによります。
まず、引き尺ですが、fx曲線の大きな違い、クリッカーゾーンと呼ばれる所での大きな違いは、クリッカーゾーンが違うという、そのままの意味ではなく、27-29インチの場所でのリムの挙動が良いという意味で、フルドローで25インチの方にとっても、クリッカーゾーンでもなんでもありません。
また、リムの軽さは、48ポンドのリムの重さを100とすれば、チップの形状の制限などにより、24ポンドのリムの重さはだいたい65%程度です。半分にはなりません。なので、リムの表示ポンドが低いほど、リムの重さは性能に大きな影響を与えます。
自分の個人的な経験則上、引き尺が25-26インチで実質ポンドで28-32ポンド以下であれば、矢速を上げる事はダイレクトに点数につながります
引き尺が27-28以上であれば、それ以外の引き味やリリースミスに対する許容性や、チップ部の捩じれ剛性など考慮すべきものは増えるので、リムの軽さや矢速だけでリムを語ることはできなくなります。
しかし、弦やロッドがたどってきた道と同じく、いずれか、矢速がアーチャーのニーズに追いついた時には、矢速ではなく、より引きやすい、フィーリングで各社競争するようになるのでしょうし、メーカーがアーチャーにとってベストなリムを決めることが出来なくなり、フォームとウッドの両方を最上位機種として販売を始め、「お客様のお好みで」となった時点で流れが変わっているかもしれません。
ただ、個人的には違う考えがあります。また、書きます。
*2005-2007年頃までは最上位のリムのコアが2パターンで、お客様のお好みでという事はありませんでした)
**弓の性能に関して言えば、以前に書いた効率性について書きましたが、弓と矢とのセットで初めて評価できます。なので、HOYTの親会社であるイーストンの矢のパフォーマンスが変わると、弓の開発競争が出だしに戻るというお話は何度か聞いています。


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Ryo

Ryo

山口諒 - JPアーチェリー代表。担当業務はアーチェリー用品の仕入れ。リカーブ競技歴13年、2014年コンパウンドに転向、2018年よりベアボウに挑戦中。リカーブ・コンパウンド両方で全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は2位(準優勝)。

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