この記事は2011年9月20日に書かれたものです。1年以上前の記事は内容が書かれた当時とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

スパインの選定における当り前の確認

今日はスパインについて。
その前にスタビライザーやハンドルについても、かなりの数の動画を撮影したのですが、あまり使えるものはありませんでした。振動と言う意味では矢のスパインと違い”適正な振動”・”良いふるまい”と言った尺度が定義されていません。
どんなハンドルでもスタビライザーでも振動はしますが、その望ましい振動とは何か、また、振動減衰のトレードオフ(例えば、リムセーバー・アルファショックスを付ければかなりの振動をとることが出来ますが、その代償として2fps程度、矢速が落ちます。どちらの方が有益なのか等)をどう判断するのか…スタビライザー・ハンドルについては、より良い動きの定義がすんでいないので、まずはそこをしっかりと定義しない比較を始めることは出来ません。今後の課題として、次回も挑戦してみます。


さて、都市伝説をつぶしていくのも一つの目的ですが、パラドックスは弓やプランジャーの問題ではなく、100%リリースから発生することを理解するために、まずは、リカーブの装備のまま(Dループだけ付けて)、リリーサー(Carter ターゲット3)でシューティングをしました。シューターもシューティングマシンではなく、人間ですが、リリーサーでリリースすることで、動画の通り、矢には全くパラドックスが発生していません。
これにより、リリースによるパラドックスの原因はリリースであることがはっきりと理解できるかと思います。



次に、550番のシャフトでピッタリの弓で、660番の矢をうった時の挙動を比較しました。下のパラドックスの大きさが大きく違うことが分かるかと思います。ただ、その後の動きに関しては、照明の不足により実験できなかったので、次回に行います。
今回行ったのはスパイン選定における「常識」が本当に正しいかの確認だけです。
こんなあたり前の実験ばかりしてどうするのかと思われるかもしれませんが、さらに実験を重ねますが、目指していることは21世紀のプロショップでのチューニング法の確立です。現在、このスペックのシステムは400万円程度しますが、技術の進歩(主に課題はバス速度)が進めば、同様のシステムは5年以内には、50万円以内で手に入る予定です。
このあたりで弊社は投資しますが、一般的なプロショップでも、意欲的なところは、20万円程度まで下がれば、ハイスピードカメラシステムに手を出すと思います。
20世紀に考えられた「ペーパーチューニング」や「距離を変えてノックの高さを見るチューニング」など、多くのチューニング法は、飛んでいる矢を見ることは出来ないという暗黙の前提に立っていましたが、どんなに長く見積もっても、その制約は自分が生きているうちにはなくなります。
将来に向けての準備として、21世紀のプロショップは「飛んでいる矢をみてチューニングする」技術が、”プロ”として提供するサービスとして求められる日は近いと思います。今回も撮影中にお客様が来店され、撮影を行いましたが、飛んでいる矢が見えれば、マイクロチューニングの更に先、ナノ・チューニングが可能です。また、調整もかなり楽です。
今はまだ導入できませんが、大久保店で5年以内、ここで撮影から収録・確認までのオペレーションを単純化し、1名のスタッフで出来るようにした後、JPアーチェリー全店に導入したいと思ってます。自分の飛んでいる矢を見ながら、プランジャーの硬さを調整したり、ティラー・ノッキングポイントの高さ、ハイトを調節できるようになど、新しいプロショップとしてのサービスを提供したいと思っています。
と、あまりにも夢たっぷり書きましたが、少なくとも、技術の進歩によってペーパーチューニングの「飛んでいる矢がどう飛んでいるのか見ることは出来ない」という前提が数年のうちに崩れるのは間違いない事実です。
先の長い話ですが、ご期待下さい。


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Ryo

Ryo

山口諒 - JPアーチェリー代表。担当業務はアーチェリー用品の仕入れ。リカーブ競技歴13年、その後コンパウンドに転向。リカーブ・コンパウンド両方で全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は2位(準優勝)。

3 thoughts on “スパインの選定における当り前の確認

  1. 少々話がズレるかと思いますが、
    同じサイズとポンドの弓
    (例:25インチハンドル&Mリム)で、
    同じシューターを用いた場合には
    恐らくですが、WIN&WIN製とHOYT製かで
    サイトが変わるかと思います。

    そこで質問なのですが、
    HOYTからWIN&WINに
    変えた場合やまた逆の場合(同じ条件で)
    矢速の増減で、矢のスパインの変化は
    ありますでしょうか?

    端的に言えば、ハンドルやリムを変えるだけで
    矢を変える必要があるかと言う事ですが、
    矢速が上がる=矢に受けるリムのエネルギー効率が
    向上するということはポンドが
    上がるのと同じなのでしょうか?

    以前から気になっており、
    解決できずにいます。
    どうか、アドバイスの程よろしくお願い致します。
    同じ質問が過去にあった場合は、
    大変失礼ながら、その記事のほうを
    教えて頂きたく存知ます。

  2. >恐らくですが、WIN&WIN製とHOYT製かでサイトが変わるかと思います。

    サイトの目盛りの数値ではなく、距離間のサイト差が変わるという話を前提に話をします。

    >HOYTからWIN&WINに変えた場合やまた逆の場合(同じ条件で)
    >矢速の増減で、矢のスパインの変化はありますでしょうか?

    矢速の増減で、矢のスパインは変化します。

    >端的に言えば、ハンドルやリムを変えるだけで
    >矢を変える必要があるかと言う事ですが、

    同等のレベルのリムの場合は矢を変えるほどの変化はないでしょう。
    あまりにもレベルの違うもの、たとえば、15年前のヤマハのGリムから、クアトロにした場合は、大きな変化が生じるかもしれません。

    >矢速が上がる=矢に受けるリムのエネルギー効率が
    >向上するということはポンドが
    >上がるのと同じなのでしょうか?

    スパインとは、エネルギーの大きさ(同じポンドという条件ならリムの効率性)とエネルギーのベクトル(リリース時のパラドックスの大きさ)に影響を受けます。
    簡単に書けば、「新しい”良い”リム」は効率性が向上しており、これは矢により硬いスパインを要求しますが、
    逆にねじれ方向の剛性に対しても性能がよりよくなっているのであれば、リリースで発生するパラドックスは小さくなっており、
    これは矢により柔らかいスパインを要求します。この相互作用が結果としてサイト差に表れます。

    アーチェリー教本などで後者の影響が解説されていないことは問題だと思っています。たとえば、リカーブで45ポンドを引いていたときは450のシャフトを使っていましたが、
    その倍はエネルギーをもつ58ポンドのコンパウンドを使っている今、自分のスパインは500番です。これがエネルギーのベクトルによる影響です。

    こんな説明でよいでしょうか。

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